東京タンバリン「静かな爆」

◎「ほんもの」を描くだけ 「容赦ない」舞台で
武田吏都(フリーライター)

「静かな爆」公演チラシ高井浩子が描く東京タンバリンの作品を観るといつも、「なんて容赦がないんだろう」と感じる。日常にごくありふれて存在する無邪気な(ゆえにタチの悪い)悪意をむき出しにし、そこに何のフォローも与えないのが、私の考える高井作品の特徴だからだ。言ってみればマキロンも絆創膏もなしで、グジュグジュの傷口をほったらかし、みたいな。おおよその場合は自然にかさぶたとなって治癒に至るのだろうし、高井作品に登場するドライな(ときに記号的ですらある)キャラクターを見ていると、人間はそうしてやり過ごして生きていかざるを得ないのだなとも思う。

“東京タンバリン「静かな爆」” の続きを読む