忘れられない一冊、伝えたい一冊 第28回

◎「ロック微分法」(渋谷陽一著 ロッキング・オン)
 永山智行

「ロック微分法」表紙
「ロック微分法」表紙

 音楽が思考のスタート地点になっている気がする。

 劇団で「水をめぐる」というシリーズの作品をつくった時に、俳優の発語の様式として、「生活言語イントネーション」なるものを試してみた。これは、語彙としては共通語のそれを使用するのであるが、その発語においては、俳優個々の普段のイントネーションを採用するというものだ。別に、郷土の言葉を大切にしたい、などという思いではなく、話し言葉の音楽性について考えてみたかったのだ。
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