松岡綾葉「D.D. Digital Dust」

◎のどごしを求めない、おいしさ。
  安達真実

福岡ダンスフリンジフェスティバル チラシ

 この人たちのダンスときたら、まさに門外漢には(門外漢である、と自らを規定した者には)どうでもいいような無意味なディテールに溢れかえっているのだ。一方で、どうでもよくないような何かが、いい加減にほったらかされているように思える。それがかえって、どうにもクセになる感じなのだ。というのは、その愚直さが筆者の目には誠実さと映るからであって、もし、納得という“のどごし”の良さを求めてみるなら、はっきり言って気持ち悪いことだらけ、ということにもなり得るだろう。
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ジェニー・シーレイ演出「R&J」(ロミオとジュリエット)

◎“平等に、不平等”という希望
 安達真実

「R&J」公演チラシ
「R&J」公演チラシ

 舞台は、現代のとあるコミュニティーカレッジの一教室に始まる。「シェイクスピアを学ぼう」というテーマの講座が開講され、その初回には、多様な受講生達が集う。そこで、数年前まで女優をしていたという茜先生(金崎敬江)の「実際に演じてみるのが一番」との提案のもと、教材として『ロミオとジュリエット』が選ばれ、劇中劇として展開してゆく。

 多様な受講生達、と言ったが、まず姿形からして様々である。いわゆる障害者も含まれている。ろう者や、左手首から先の欠損者、身長110㎝の小人症の者、日本人もいれば、イギリス人もいる。多様なのは外見のみならず、ひきこもり気味で、親に申し込まれてしぶしぶ出てきた青年もいれば、逆にやや躁病的にアッパーなテンションの者もいる。役と同時に実際がそうである者と、単に役としてのみそうである者とが混在している。
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ポコペン舞子「もう少し待っててください」

◎愛すべき“ブス”のゆくえ
 安達真実

「ダンスがみたい!13」チラシ 仮に、“ポップでキュート、ときどきブス。”という種類の魅力があるとしよう。軽やかで愛らしい、だけでは物足りない。ときにちょっとヘンテコなのがカワイイ、と。
 例えばそう、ファッションで言うところの「東京ガールズ」(裏原系、ロリータファッション等)は、抑圧的な日本社会において、自分たちだけの居場所を、ファッションというツールの活用によって獲得しようとし、消費を通してしか文化を創り出せなかったとされる。が、ここで敢えて、このポコペン舞子(ブス)というダンスカンパニーを、そして彼女たちを取り巻くまなざしを、「東京ガールズ」の文脈で捉えるとするなら、それはそれで、おもしろいかもしれない。
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