◎これもまた「本道」なのだ
堀切和雅
中途半端な郊外で
演劇をやりたい若者は、まあ若者でなくてもいいのだが、とりあえず東京や京阪神や名古屋やせいぜい北九州など、大きめの都市に出て来るほかに、選択肢はあまりない。地方では、機能している常設の劇場空間もまずないし、演劇仲間も集まりにくいし、なによりも、演劇が成り立つ根拠そのものである、まとまった観客層がない。いや、後ほど述べるようにそれは実は存在しうるのだが、未だ潜在的なものに押しとどめられてしまっている。
もちろん、弘前劇場など、地方を基盤に演劇を成立させて行こうという努力はなされてきたし、いまもされている。
ただ、演劇界全体のあり方の問題として、地方で舞台を成立させるための組織的努力は、片隅に追いやられてきた。
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