◎開かれなかったテクスト
間瀬幸江
静かな破壊力で阿藤智恵が新境地を開いた前作『曼珠沙華』から5カ月、待望の新作上演であった。『どこまでも続く空のむこうに』(小笠原響演出、Pカンパニー)の主人公は、『曼珠沙華』の登場人物と同じ「J」(ジェイ)。それを同じ役者(長谷川敦央)が演じる。二つの作品が響きあい、ポスト震災の阿藤ワールドの全貌が見えるであろうとの期待を抱かせるに十分なお膳立てである。しかしながら、前作にはあった破壊力はなかった。ところどころで違和感を覚え、テクストと上演作品との相関関係を考えさせられた。
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