急な坂スタジオプロデュース「Zoo Zoo Scene(ずうずうしい)」

◎虚実がバランスよく混在 動物園で「動物園物語」
藤田一樹(ウェブログ「The review of Kazuki Fujita」主宰)

「Zoo Zoo Scene」公演チラシ「動物園で動物園物語」-。そんな夢のような企画に多くの人が期待を抱いたのではないだろうか。舞台芸術の創作活動の場として使用される急な坂スタジオと、その目の前に位置する野毛山動物園とのタイアップとして発案された今回の公演。創作者として白羽の矢がたったのは、「誤意訳」というスタイルで翻訳劇の新たな可能性を広げている中野成樹氏。急な坂スタジオのレジデンシャル・アーティストを務めながら、「中野成樹+フランケンズ」という翻訳劇専門のカンパニーを主宰している注目の演出家だ。彼が上演戯曲に選んだのは、エドワード・オールビーの代表的な不条理劇「動物園物語」。今回は企画の話題性だけでなく、この戯曲の新しい方向性を明確に示したという意味で、非常に意義深い上演だった。

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