◎儀礼と演劇、近代を再考する手つきについて―SPAC『マハーバーラタ』ステートメント批判
川口典成
「これは儀礼ではありません。儀礼についてのダンスなのです」
ピナ・バウシュ i
2014年の日本演劇界の大きな話題のひとつであったSPACの『マハーバーラタ~ナラ王の冒険~』。アヴィニョン演劇祭に公式プログラムとして招聘され、7月にブルボン石切場にて上演。9月には、KAAT神奈川芸術劇場にて日本凱旋公演が行われた。アヴィニョンでは好評だったとNHKなど大メディアでも喧伝され、また9月の凱旋公演も大いに盛り上がり、ネット上にも賛辞があふれた。そうした言説の中に「祝祭的」「祝祭感」という言葉がよく見られたのは、SPAC自体がこの作品を「祝祭劇」と銘打っていることからも頷ける。だが、ここで問いたいのは、「祝祭」とはなんだろうか、ということである。演出家・宮城聡がアヴィニョンで発表したステートメントは、まさに「祝祭」をめぐってのものだった。
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