◎愛と憎、狂気と正気の <極> に、もの悲しい波長の空間が
阿部未知世
1. 口火
静岡舞台芸術センター(SPAC)の芸術監督、宮城聡が、SPACの役者を使って、唐十郎の作品を上演する!
唐十郎と言えば、アングラ演劇の最高峰。
1960年代末から70年代、「状況劇場」の紅テントで<腰巻お仙>などなどに、強烈な衝撃を受けた体験がある。
宮城聡はかつて、劇団「ク・ナウカ」を率いて斬新な演劇を創り、SPACにおいても、<夜叉が池>などのように、独特の様式美と色彩豊かな、力強い空間を展開している。
その唐十郎と宮城聡が、真正面から出会う。これを知った時、軽い戸惑いと未知なるものへの期待がうまれたことは事実だった。
キャッチコピーには、<能×アングラ×宮城聡>の掛け算。しかも会場は、夜の野外劇場。一体、どんな世界に連れ出されるのか…。胸は高鳴るのだった。