神村恵カンパニー「385日」

◎スリリングでおもしろい「喋りながら取っ組み合う」ダンス
桜井圭介

世田谷美術館のロビーで行われた神村恵カンパニー『385日』を観た。中盤あたりのハイライトシーンで驚いた。なんか会話しながら取っ組み合いしてるよ! 「しゃべくるcontact Gonzo」(笑)ていうか。そのことをある人に話したら「神村恵、お前もか(嘆)!」という反応が返ってきた。曰く、最近やたらと目に付く「ダンスなんだか演劇なんだか分かんないよ」的な演劇やダンスに対して、常日頃苦々しく思っていたが、まさか神村恵だけはそんなことはしないと思っていたのに! だって。たしかに、神村恵はダンスのフォルマリスト的な位置取りの先端と目される振付家であり、いわゆる「タスク」とか「ルール」で構造する的な(ジャドソンチャーチ的な?)アプローチの作家として評価されているわけで、その彼女が、そんな安直なギミックに頼るとは! というのは、まあ分かる。事実、あとで作家本人にも「しゃべくりゴンゾだったね!」と率直な感想を述べたところ、なんとなーくイヤそうな顔で苦笑いされた(ような気も)。

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