燐光群「推進派」

燐光群「推進派」
◎「現実」を豪腕で舞台化したジャーナリズム演劇の成果
 森口秀志

「推進派」公演チラシ うーむ、こういう芝居はどう評していいものかと、思わず腕組みしてしまう…。欠点を論(あげつら)えば、いくらでも挙げることができる。
 まず、状況説明のために、登場人物が突然饒舌となりやたら詳しい解説を語りだす。〈解説〉が始まると役者は一歩前に踏み出し、声を張り上げるといった古くさい新劇テイスト。2日目の舞台のせいか、はたまたそのセリフの多さのせいか、役者がしばしばセリフを噛むこと。そして、話を詰め込みすぎて、十分に整理されていないこと…。
 しかしながら、そうしたさまざまな〈欠点〉を補って余るほどの迫力と剛力(ごうりき)をもって、本作『推進派』はワタシたちの前に提起された。今ニッポンで進行している事態を、一つのエンターテイメント性ある〈物語〉として結実させた芝居として。

 こうした豪腕の要るホン(脚本)を書き、舞台化(演出)できる演劇人はそうそういないのではないか?  そうした意味で、その〈取材力〉も含めた坂手洋二氏の芝居ヂカラには改めて、敬服するしかない。
“燐光群「推進派」” の続きを読む