◎舞台の中心で「婦人」は怒る
鴨下易子
ある20代の演出家が韓国の劇団を紹介して「僕を含めて、日本で芝居にかかわっている人は楽しいからやっているけれど、韓国では伝えたいことがあって芝居をしている。」と書いていた。(それは書き手の周囲の人たちだけだと思いたいけれど)もしそうなら小劇場の担い手の多くは仲間内で楽しく芝居をしているだけで、大学のサークルと変わらない。そんな彼らと、今も社会との関係で芝居をつくり続けている上の世代の演劇人とは、芝居に対する意識が本当に離れてしまっているのだろう。実際、若い芝居関係の知人からは「おもしろいから見に来てください」というのは少なくて、「頑張っているから来て」と誘われることの方が多い。頑張っているのを喜ぶのは身内だけでしょう。私は身内ではなく観客、客のことを考えない公演には行く気にならない。
“KUNIO08「椅子」” の続きを読む