連載「芸術創造環境はいま-小劇場の現場から」最終回(第14回)

玉山悟さん(王子小劇場代表・芸術監督)
◎独自の選球眼で有望劇団の発掘と育成を

 1年半にわたって、時に地方にも足を伸ばし、劇場の生の声を少しでもお伝えしたいと続けてきたこの連載。2011年も終わろうとする今回をもって、きりよく最終回といたします。ラストバッターとして登場願うのは王子小劇場の玉山悟さんです。席数100とこぢんまりした規模ながら、恒例の演劇祭や演劇賞もあり、東京都内でも一種独特の立ち位置をもつこの劇場。最近注目株の若手劇団には、ここで旗揚げをし公演を重ねてきたところも少なくありません。王子ならではの運営方法をはじめ、いい作品の見分け方や、劇場法(仮称)についてのお考えなどを、じっくりとお聞きしました(編集部)。

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連載「芸術創造環境はいま-小劇場の現場から」第13回

 大石時雄さん(いわきアリオス支配人)
◎「第二の敗戦」から、新しい価値観の作品を

 震災からほぼ半年たった8月末、福島県のいわきアリオス(いわき芸術文化交流館)を訪ねました。いわき市の人口は今年4月現在、約34万人。福島県内では郡山市や福島市より人口の多い都市です。その中心にあるアリオスは、大ホール、中劇場、小劇場などを備えた総合文化施設です。しかしアリオスだけでなく、街のあちこちに屋根をブルーシートで覆った家が見えるなど、震災の傷跡はいまだ残っていました。
 前回の高知、金沢の美術館に続いて、地方都市で独自の活動を展開している公共文化施設の登場です。世界や東京などの先端芸術を呼び込むだけでなく、「脱東京」スタイルの芸術文化活動を地域に根ざしてどう展開するか。アリオスの実践例に、都市型小劇場の活動につながるヒントが隠されているかもしれません。(編集部)

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連載「芸術創造環境はいま-小劇場の現場から」第12回

 藤田直義さん(高知県立美術館館長)
 近藤恭代さん(金沢21世紀美術館交流課長/チーフ・プログラム・コーディネーター)
◎ネットワークを駆使し舞台芸術作品を生み出す美術館

 これまではタイトル通り小劇場を訪ねてきたこのコーナー、今回は、パフォーミングアーツの公演にも積極的に取り組む異色の美術館のお二人、高知県立美術館の藤田直義館長と金沢21世紀美術館の近藤恭代交流課長へのインタビューです。外国人アーティストを直接招聘したり、自主制作や外国との共同制作といった意欲的な試みで注目を集める両館ですが、以前から、美術館がなぜ、どうやって舞台作品を作るのか? そんな素朴な疑問をぶつけてみたいと思っていました。聞き手として同席された寄稿者の藤原ちからさん(フリー編集者)は高知出身で、美術館の地域性にも興味があるとのこと。劇場との相違にも思いを馳せつつ、いつもとは異なる角度からのお話に、地域における舞台芸術の新しい可能性と方向性が探れればと考えます。(編集部)

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連載「芸術創造環境はいま-小劇場の現場から」第11回

 田辺剛さん(劇作家・演出家・「アトリエ劇研」ディレクター)
◎京都は母港。試行錯誤が許される場所

 今回訪ねたのは、京都下鴨のアトリエ劇研です。学生の多い京都で、1984年からずっと若い演劇人の活動拠点となってきました。東京や大阪といった大都市からちょっと離れているという地理的条件、街の大きさ、行政との歴史的な関係、アトリエ劇研の使命など、この春から京都市民となったワンダーランド編集長が、アトリエ劇研ディレクターの田辺剛さんに、京都ならではのお話を伺いました。(編集部)

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連載「芸術創造環境はいま-小劇場の現場から」第10回

 森元隆樹さん(三鷹市芸術文化振興財団事業課事業係長)
◎惚れた作品にとことんこだわって

 座・高円寺や吉祥寺シアターなど、中央線に点在する公共劇場の中で、先駆的存在なのが、ここ三鷹市芸術文化センターです。以前は駅からバスに乗って行くのが少し遠いと感じたが、いつのまにか、さほどに思わなくなってきたという声も聞きます。個性的なラインナップやロングラン方式など、独自の手法が功を奏しているのかもしれません。演劇公演の企画運営に携わっておられる森元隆樹さんに、劇場法(仮称)へのご意見も含めて、熱い想いの溢れ出るお話を伺いました(編集部)。

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連載「芸術創造環境のいま-小劇場の現場から」第9回

 松島規さん(あうるすぽっと 支配人)、小沼知子さん(同プロデューサー・広報担当)
◎人を再生させる力を持つ演劇の役割を求めたい

 東京・池袋の「あうるすぽっと」(豊島区立舞台芸術交流センター)は、都内で舞台芸術中心の活動を展開している数少ない公共劇場です。しかも高層ビルの中にある都市型劇場でもあります。3年前にオープンしてから、ストレートプレイを中心にしながら、先端的実験的パフォーマンスも大胆に取り入れたプログラムが評判を呼んでいます。いま舞台芸術の創造環境をどう考え、どのような方向を打ち出して活動しているか、また芸術監督制や劇場法などについて、率直なお話を聞かせてもらいました。(編集部)

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連載「芸術創造環境はいま-小劇場の現場から」 第8回

中島諒人さん(鳥の劇場主宰)
◎地域や社会に必要とされる劇場とは

 今回は、再び地方へと足を延ばし、寄稿者の藤原ちからさん(フリー編集者)とともに、鳥取の鳥の劇場を訪ねました。廃校を活用したこの劇場では、演劇・アートを通して人々と多様なかかわりをもとうと、秋の「鳥の演劇祭」をはじめ、一年を通して多彩なプログラムが展開されています。また鳥の劇場は、劇場名であるとともに創作集団の名前でもあるというところもユニーク。主宰で演出家の中島諒人さんに、お話をお聞きしました。(編集部)

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連載「芸術創造環境はいま―小劇場の現場から」第7回

松浦茂之さん(三重県文化会館事業推進グループリーダー)
◎地方発信、劇場の新しい試み

 今回は東京を離れ、三重大学人文学部准教授の田中綾乃さん、地域の演劇に関心の深いカトリヒデトシさんとともに、三重を訪れました。このところ、元気のある地方公共劇場のひとつとして名前が挙がるのが、三重県文化会館。幅広い公演活動で着実に観客を集めており、その範囲は、クラシック音楽やバレエ・オペラから注目の若手演劇にまで、分野を広げています。また運営手法も、公共劇場としてはたいへんユニークと聞きます。そこで事業推進グループのリーダーとして、斬新な演劇事業を展開しておられる松浦茂之さんに、この文化会館の元気の秘密をうかがいました。(編集部)

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連載「芸術創造環境はいま-小劇場の現場から」第6回

 加藤種男さん(アサヒ・アートスクエア、アサヒビール芸術文化財団事務局長)
◎文化発信の創造的実験場として

 地下鉄浅草駅から地上に出ると、隅田川の橋向こうに金色の炎のオブジェをのせたビルが見えます。その「スーパードライホール」の4階にあるのがアサヒ・アートスクエア。新しいモノを創り出そうとするアーティストの育成や地域パフォーマンス活動の拠点として知られています。ビールやソフトドリンクを飲みながら、音楽やダンス、演劇、美術、映像など先端的、実験的なアートを楽しめるという、企業文化施設としてはユニークな活動を続けてきました。その基本的な方向を定めているのが、アサヒビール芸術文化財団です。事務局長を務める加藤種男さんに、芸術支援活動を支える理念や運営の実際を尋ねました。(編集部)

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連載「芸術創造環境はいま-小劇場の現場から」第5回

 ペーター・ゲスナーさん(せんがわ劇場芸術監督)
◎演劇と町をつなぐ

 旧東ドイツ・ライプツィヒ出身のペーター・ゲスナーさんが、東京都調布市のせんがわ劇場芸術監督になって3年。市民中心の専属アンサンブル活動やユニークな自主企画などで、公共ホールの新しい試みとして注目されています。小劇場を地域の文化活動拠点としてきた狙いや成果をじっくりうかがいました。(編集部)

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