連載「芸術創造環境はいま-小劇場の現場から」第12回

 藤田直義さん(高知県立美術館館長)
 近藤恭代さん(金沢21世紀美術館交流課長/チーフ・プログラム・コーディネーター)
◎ネットワークを駆使し舞台芸術作品を生み出す美術館

 これまではタイトル通り小劇場を訪ねてきたこのコーナー、今回は、パフォーミングアーツの公演にも積極的に取り組む異色の美術館のお二人、高知県立美術館の藤田直義館長と金沢21世紀美術館の近藤恭代交流課長へのインタビューです。外国人アーティストを直接招聘したり、自主制作や外国との共同制作といった意欲的な試みで注目を集める両館ですが、以前から、美術館がなぜ、どうやって舞台作品を作るのか? そんな素朴な疑問をぶつけてみたいと思っていました。聞き手として同席された寄稿者の藤原ちからさん(フリー編集者)は高知出身で、美術館の地域性にも興味があるとのこと。劇場との相違にも思いを馳せつつ、いつもとは異なる角度からのお話に、地域における舞台芸術の新しい可能性と方向性が探れればと考えます。(編集部)

||| 展覧会以外のプログラムを

-このコーナーでは、これまでいろいろな劇場で、どんな環境で舞台作品が作られているかを伺ってきました。美術館の方にインタビューするのは初めてなのですが、運営面も含めてお尋ねしたいと思います。まず、高知県立美術館はお名前の通り県立、金沢21世紀美術館は市立の美術館なのでしょうか。

近藤恭代さん近藤 正確に言うと、施設そのものは市の所有物ですが、運営管理は金沢芸術創造財団です。うちは金沢市立とは称してないですね。

藤田 こちらも同じような形です。施設は県立で、高知県文化財団が運営しています。

-施設は公立で、指定管理者として財団が入ってらっしゃると。そうすると、お二人とも財団の職員ですか。

藤田近藤 そうです。財団プロパー職員ですね。

-藤田さんは「館長」、近藤さんは「交流課長/チーフ・プログラム・コーディネーター」という肩書きをお持ちですが、具体的にはどういう仕事をされているのでしょうか。

藤田 館長として、管理運営の全責任を負っています。私自身は美術の専門家ではないし学芸員の資格も持ってないので、美術部門については事実上チーフの学芸員に任せていましたね。今年6月までは私が学芸課長を兼務していたのですが、7月から新たに学芸課長に来てもらいました。時々こんな展覧会もやったらどうかと提案したこともありますが、ほとんどお任せ状態でした。
 一方で、美術館ホールのプログラムはずっと私が担当していて、館長になってもやり続けています。もちろん資金調達も含めてです。企業からの協賛は限られていますが、新しい助成金制度ができたときには積極的に申請します。

-演劇・ダンスでは助成金をもらって制作するというのはよく聞く話ですが、美術館でも同じような状況なのでしょうか。

藤田 展覧会事業を対象とした助成金は意外と少ないんですね。「地域創造」と「芸術文化振興基金」が中心でした。
 ホール部門は助成金がいろいろとありましたので、できるだけ申請するようにしてきました。地域創造は、3年間毎年1,000万円ずつ交付される「創造プログラム」を2回獲得しています。同じく1,000万円交付される別の制度のも獲得しました。文化庁の助成金については、一昨年は「地域文化芸術振興プラン推進事業」を、その後は「優れた劇場・音楽堂からの創造発信事業」を申請しています。5年継続がなかなか通らないのですが、単年度であれば各県につき最低1件は採択されるという話ですので、高知県で他に申請するところもないだろうと毎年アテにして計画を立てています。さらに今年度は新しくレジデンスの助成金(文化芸術の海外発信拠点形成事業)ができたので、それにも応募しています。

近藤 金沢21世紀美術館では、たぶん日本で初めてだと思うんですけど、展覧会をやっていく部門の「学芸課」と、パフォーミングアーツやイベント中心の「交流課」、つまり美術部門と舞台芸術部門を、それぞれ独立させた形で運営していく構想が最初からあったんですね。
 その中で私の仕事は、藤田さんと少し似ています。私も美術館の職員ではありますが、特に学芸員でもなく美術専門でもない。最初に呼ばれた条件が、「舞台・ホールに携わった経験のある、それも極めて現代性のあるところでやってきた人」だったので、私がそれまでやってきたことにマッチしたんです。それで交流課のチーフを今はやっています。
 うちの美術館には、その交流課と学芸課に加えて、管理を司る総務課があります。総務は、だいぶ財団のプロパーの人たちも増えてきてますが、中心になっているのは市から出向してきた職員たちです。それ以外に、今、広報室を設けて独立させようとしてます。

―スタッフの人数はどのくらいですか。

藤田直義さん藤田 美術館全体では、プロパー、県派遣、契約職員を含めて27人。そのうちホール担当が4人。その4人の内訳はプロパー職員が2人、契約職員が2人です。

近藤 うちは館長を含めて全体で40名、内訳は、プロパー21、市の出向者5、非常勤7・臨時職員5、委託2名です。その中で学芸課が16人、交流課は私も含めて3人、広報室が6人、そして総務が14人います。交流課3人のうちプロパーは私を含めて2人、もう1人は非常勤です。
 私の仕事についてもう少し言うと、展覧会以外のものをやるということ。その中で70~80%はパフォーミングアーツ部門。館内にはシアター21というホールありますが、そこだけにこだわらずそれ以外の場所でやったり、美術館の外にも飛び出していくようなプログラムを年間を通して作っています。
 特に外周の広場では、年間2回、春はゴールデンウィークに「Golden まるびぃWeek」を、秋は10月9日の開館記念日を含む三連休に「まるびぃde パーティー」という広場イベントをやります。「まるびぃ」って、開館の時に公募した美術館の愛称なんですよ。美術館が丸い形をしているので、その「まる」に美術館の「び」、それを重ねて「まるびぃ」。かわいいでしょ(笑)。
 その時はフリーマーケットをやったり、ミニSLが走ったりと、言ってみればお祭りです。GWや三連休は、圧倒的に県外や市外のお客様が多いので、来ていただいて金沢を楽しんでいただく。ふらっと来たら美術館でこんな楽しいことをやってたよと思ってもらえたら。
 とはいえ、年間通してやっているのはやはりパフォーミングアーツが中心で、最近はダンスが多いですね。他にはコンサートもあり、映画上映もあり、トークものをやったり。その辺は、高知県立美術館さんとも非常に内容が似てると思います。

藤田 うちは他に能楽堂もありますけど、あまり活用されていません。でも、ほとんどのジャンルを網羅していると思います。( >>


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