◎「浄化。」されるわたし
關智子
この言葉はロラン・バルト(Roland Barthes)が『恋愛のディスクール・断章』(Fragments D’un Discours Amoureux, 1977. 三好郁朗訳、みすず書房、1980年)における「破局」の項で述べたものである。この本は、『浄化。』の戯曲である『洗い清められ』(Cleansed, 1998. 近藤弘幸翻訳。以下敬称略)を書いた際に作者のケイン(Sarah Kane)自身が影響を受けたと述べており、作品の主題である精神的限界状態としての愛を表象するために参照していたとされる。この『浄化。』では、このバルトの言葉にあるような状態が上演の中で描かれると同時に、それは作中の登場人物だけではなく観客までも巻き込もうとする力強い、挑発的な試みが見られた。
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