◎前代未聞のボーン・ジャムセッションこそ、遅れてやってきた怒れる若者マーティン・マクドナーの真骨頂だ!
佐々木眞
ロンドン生まれの悪童、マーティン・マクドナーが両親の出身地であるアイルランドのリーナン地方を舞台にした悪漢演劇3部作シリーズの2作目がこれです。題名の『コネマラの骸骨』のコネマラは、そのリーナン地方を含めた景勝地の名前だそうですが、景勝地とは似ても似つかぬ「正体不明の謎の男の殺しの疑惑」が今回のテーマなのでしょうか。
小劇場レビューマガジン
◎前代未聞のボーン・ジャムセッションこそ、遅れてやってきた怒れる若者マーティン・マクドナーの真骨頂だ!
佐々木眞
ロンドン生まれの悪童、マーティン・マクドナーが両親の出身地であるアイルランドのリーナン地方を舞台にした悪漢演劇3部作シリーズの2作目がこれです。題名の『コネマラの骸骨』のコネマラは、そのリーナン地方を含めた景勝地の名前だそうですが、景勝地とは似ても似つかぬ「正体不明の謎の男の殺しの疑惑」が今回のテーマなのでしょうか。
◎小劇場に「世界」立ち上がらせた杉原演出
カトリヒデトシ
3時間50分、第3幕、ラスト。
寝台上で瀕死のプライアー(田中佑弥)が天上からの「何か」の訪れにおびえる。ベッドも部屋も軋み始める。
教会を批判し、性の解放をうたうオルフのカルミナ・ブラーナ第24曲「アヴェ」、第25曲「おお、運命の女神よ」という荘重な音楽が大音量でながれる。
◎テント通いはとまらない
岡野宏文
こういう歌がございます。
猫は美の生き物だから存在が本質なんであります。犬は情の生物ゆえに本くらい読まないとダメなのですね。
片方で犬のやつは、人類の最古にして最良の友と呼ばれたりしますが、奇妙なことにもう片方では犬なる文字のついた言葉にろくな手合いがないのであります。犬死に、犬ざむらい、犬畜生(なんと理を知らぬケダモノの代表選手)、負け犬などなど、犬儒派なんてのもあったっけ。
◎「ビジネス」と「演劇」貫く世界の肯定
高木 登
演劇はビジネスである。少なくともそのはずである。規模の大小にかかわらず主催者は数千円の入場料を観客から徴収している。劇場には決して安くない使用料を払い、スタッフにもギャランティを払い、公演ごとにはそれなりの金額が移動する。これは立派な商行為である。
マガジン・ワンダーランド第156号、157号、158号の3回にわたって掲載された平田オリザ・インタビューをwebサイトに再掲しました。長尺ですが、手応えはあるはずです。じっくり味わってください。>>
◎想像力喚起する魅力 より「現代的」な日本版
今井克佳
ロンドンのSoho Theatreの客席は、上下の段差が大きいせいか、暗い穴蔵のような印象だった。一年少し前、そこでキャサリン・ハンターと野田が出演して、ロンドン版The Diverが約一ヶ月上演された。当時ロンドンに滞在していた私は何度も劇場に通いつめ、野田秀樹がロンドンではいまだに「アウェイ」の風にさらされていることを思い知らされた。
◎鬱蒼とした森の物語 現実との交錯、衝撃と叙情と
三橋 曉
まるでゲームの話をするみたいだが、三鷹市芸術文化センターの星のホールと聞くと、ついつい攻略法という言葉を思い浮かべてしまう私。素人目にも、この劇場はそれくらい使い難そうだ。そもそもは、市民のサークルや生涯学習の発表を念頭において設計されたのだろう、ゆったりとした座席と舞台の配置になっているが、しかし小さなお芝居をやるには、その空間が無駄に広過ぎるのだ。
◎澱んだ世間、汚物が逆流 暗闇の中に一筋の光も
木俣冬
舞台の壁面に、細いパイプが一面に張っている。場面転換は、この壁面に、
章の数字を幻想的に映すことで理解できる。
薄暗い舞台に、時折、ゴボッゴボッと不快な音が響く。
やがて、この音は、マンションの下水がうまく機能せず、逆流している音だということがわかる。この音のように汚物がうまく流れていかない気持ちの悪さが、芝居の通奏低音となっている。
マガジン・ワンダーランド第159号、160号で編集長交代をお伝えしました。繰り返しになりますが、あらためてお知らせします。 ワンダーランドを始めてから6年目。そろそろ潮時かな、と思っていました。自分でそんな兆候を自覚 … “編集長の交代について” の続きを読む
マガジン・ワンダーランド第159号、160号で編集長交代をお伝えしました。繰り返しになりますが、あらためてお知らせします。
ワンダーランドを始めてから6年目。そろそろ潮時かな、と思っていました。自分でそんな兆候を自覚したときはすでに、周りは十分すぎるほど気付いているはずです。
そんな折、負荷のかかるポストを引き受けてくれる人が現れるとはなんという僥倖でしょう。恵まれたバトンタッチでした。
といっても始めた活動を放り出すわけではありません。ワンダーランドはこの10月からぼくを含めて三人態勢で再出発しました。このユニットをもう少し前に進めるために、しばらくは舞台裏で汗をかくことになりそうです。
以下、水牛新編集長のあいさつを再掲、大泉編集部・事務局長のことばを紹介します。二人はワンダーランドの執筆者であり支援会員でした。これから徐々に、新しい視点と展開が見えてくると思います。いっそうのご支援、ご協力をお願いいたします。(ワンダーランド代表 北嶋孝)
◎娘の物語、母の物語
都留由子
お芝居の中には、人生のある時期に観ると、激しく心を揺さぶられ、強い印象を残すものがある。鴻上尚史が主宰する若い劇団、「虚構の劇団」の『ハッシャ・バイ』は若いうちに観たかった作品であった。初演を観ていないことを、本当に残念に思った。第三舞台による初演は23年前のことである。