◎揺らぐ「主体性」を取り込み楽しむ 演技の「質」を高めた舞台
松井周(青年団、「サンプル」主宰)
平田オリザの作品をフランス人のロアン・グットマンが演出した『別れの唄』を観て、「現代口語演劇」について考えてみたいと思った。
小劇場レビューマガジン
◎揺らぐ「主体性」を取り込み楽しむ 演技の「質」を高めた舞台
松井周(青年団、「サンプル」主宰)
平田オリザの作品をフランス人のロアン・グットマンが演出した『別れの唄』を観て、「現代口語演劇」について考えてみたいと思った。
◎異文化摩擦の齟齬をコミカルに、そしてリアルに
片山幹生(早稲田大学非常勤講師)
平田オリザの新作だが、フランスの地方都市にある国立演劇センターから委嘱された作品であり、当初からフランスの劇場、フランス人観客のために構想された作品であることは強調しておく意味はあるだろう。言語芸術である演劇ジャンルにおいて、使用言語の異なる国・地域の人間に新作を委嘱することはかなり異例であるように思われるからだ。今回の委嘱は、平田の劇作家としての資質が言語を超えた普遍的なものであることをフランスの演劇人が認めたことを示している。
◎東京で見る月も、パリで見る月も
中村隆一郎(「演劇時評」サイト主宰)
平田オリザがティヨンヴィル・ロレーヌ国立演劇センターの依頼で、フランス国内における公演を前提に書いた。旅回りはすでに始まっているが、途中東京で五日間だけ上演されたもの、このあとパリなどでの公演が待っている。演出のロラン・グッドマンはこの劇場センターの芸術監督のような立場にあるようで、平田とは青年団の「国際交流プロジェクト」で何度も共同作業の実績がある。
埼玉県の富士見市民文化会館キラリ☆ふじみが、自主制作する芝居の演出家と出演者を公募しています。若手演出家に機会を提供する「キラリ☆ふじみで創る芝居」は今年、シェークスピアの「ロミオとジュリエット」を取り上げ、3人の演出家により幕ごとに異なる演出で上演。その中から1人の演出家を選出し、来年度に作家阿部和重さんの芥川賞受賞作「グランド・フィナーレ」の演出を依頼することになりました。この4月から平田オリザさんのあとを継いだ生田萬芸術監督の新しいプロジェクトで、夏には10人前後の出演者をオーディションで選び、来年2月に「ロミオとジュリエット」を上演する予定です。
演出家コンペの公募締め切りは5月1日。来週に迫っています。詳細は、キラリ☆ふじみのwebサイトをご覧ください。
プロジェクトの狙いなどは、生田萬さんのインタビュー(「インタビューランド#7」)に掲載されています。
国際交流基金のwebサイト「日本の舞台芸術」のアーチストインタビュー・ページに、青年団の平田オリザさんが登場しています。ページの掲載が3月23日なので、紹介が1カ月遅れになってしまいました。平田さんは「現代口語演劇」を … “平田オリザ・インタビュー” の続きを読む
国際交流基金のwebサイト「日本の舞台芸術」のアーチストインタビュー・ページに、青年団の平田オリザさんが登場しています。ページの掲載が3月23日なので、紹介が1カ月遅れになってしまいました。平田さんは「現代口語演劇」を唱えて現代演劇の新しい理論化作業の先頭を切り、劇作家、演出家、民間小劇場の経営者、公立ホールの芸術監督、大学の教授など多面的に活躍しています。また韓国、中国、フランスとの共同制作などにも積極的に取り組んでいるのはみなさんご存じの通りです。聞き手は、演劇評論家の扇田昭彦さん。「現代口語演劇」のポイント解説のほか、日仏合同公演「別れの唄」が成立する経過や、来年以降に予定される新作品の話など、盛りだくさんの内容になっています。
・現代演劇界のニューオピニオンリーダー平田オリザに聞く(聞き手:扇田昭彦)
◎応用可能なフォーマットとしてのゲーム
伊藤亜紗(ダンス批評)
ふだんダンスばかり見ているせいか、たまに音楽のライブにいくと楽器が武器(ウェポン)にみえる。なにしろステージ上の人間が体に尖ったものをくくりつけていたり、バリケードみたいにドラム缶状の物体に囲まれているのが新鮮だ。しかも、それらの物体は発砲する。弾丸ではないから安全なのではあるが、あちこちで人が人に向かって対人シューティングしてる。「音」という玉を、どんなリズムで、どんなタイミングで、どんな強さで、発砲するか。最適な解は刻一刻と変化し、すべては相手の出方次第だ。もちろん隙をついて攻撃もしかける。楽器という武器をかまえた演奏者が、「音楽」というシューティング・ゲームのプレイヤーにみえてくるのだ。
◎「気配」をホラーに変える演劇 観客も不安や怯えとシンクロ
木俣冬(フリーライター)
気配の演劇だなと思った。
Jホラーというジャンルがブームになって久しいが、その代表格の『女優霊』を“気配の恐怖”だと中田秀夫監督は当時解説していたと記憶する。そもそも、日本人は日本家屋の突き当たりの薄暗い納戸や階段の上など、そこに何かが潜んでいるようなコワサ、どこかからのぞかれているかもしれないコワサに敏感だ。日本人特有の民俗感をくすぐることでJホラーは巨大なムーブメントとなった。
「Shizuoka春の芸術祭2007」が5月3日から6月30日まで静岡芸術劇場や舞台芸術公園で開かれます。今年度は、フランス、イタリア、リトアニア、ロシア、中国、インドなどから10演目、国内からは金森穣が率いるダンスカンパニーNoism07の最新作「Play2Play-干渉する次元」などのほか、鈴木忠志・前芸術総監督が「別冊 別役実『AとBと一人の女』より」(5月3日、5日)などの2作が特別上演されます。
◎表現形式の実験+面白い発見のある楽しめる作品に
宮沢賢治の作品を3つの団体がそれぞれの演出でリーディングするこの企画、その中で大岡淳演出による『セロ弾きのゴーシュ』を観た。リーディング公演。しかも超メジャーな作家の作品ということもあって、あまり楽しい公演ではないだろうと思っていたのだが(失礼)、観てみると予想に反し、面白い発見のある舞台だった。
早稲田大学と立教大学で、シェークスピアに関する公開講座が相次いで開かれます。 まず早稲田では4月21日(土)、『タイタス・アンドロニカス』(蜷川幸雄演出)に出演の俳優吉田鋼太郎さんが「シェイクスピアへの実践的アプロー … “早稲田と立教でシェークスピア公開講座” の続きを読む
早稲田大学と立教大学で、シェークスピアに関する公開講座が相次いで開かれます。
まず早稲田では4月21日(土)、『タイタス・アンドロニカス』(蜷川幸雄演出)に出演の俳優吉田鋼太郎さんが「シェイクスピアへの実践的アプローチ 読むのとやるのとは大違い~ミニワークショップを通じて~」のタイトルで講演。『ベニスの商人』『コリオレイナス』『十二夜』『マクベス』などの一部を実際に演じながらシェイクスピアの万華鏡的な面白さに迫るそうです。午後1時から文学部キャンパス36号館382教室で。