年末回顧企画「振り返る 私の2011」

 慌ただしい年の瀬。新しい年を迎えるためには、ここらでちょっと身をかがめ、呼吸を整えてこの1年をかえりみよう-。そんな気持ちから始めた年末回顧企画「振り返る 私」シリーズも今年で8回目。記憶に残る3本とコメント300字という現行方式になってからは7回目になります。今年も多くの方々の参加で多彩な内容になりました。40人余りの「この1年」が凝縮しているので、「小劇場2011」の輪郭と流れがぼんやりながら立ち上がってくるような気がします。掲載は到着順です。(編集部)
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オーストラ・マコンドー「トーキョービッチ,アイラブユー」

◎初子の未来
 福田夏樹

「トーキョービッチ,アイラブユー」公演チラシ 僕は2度、東亜優という女優に出会っている。1度目は、タナダユキ監督の映画「赤い文化住宅の初子」の初子として。2度目が、今回の「トーキョービッチ,アイラブユー」のお初として。つまり、僕は東亜優に初子としてしか出会っていない。以下は、「トーキョービッチ,アイラブユー」を「赤い文化住宅の初子」の初子の未来の物語として捉えようという試みである。
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劇団ヘルベチカスタンダード「夢幻地獄~青春は少女の唇でトケル!~」(クロスレビュー挑戦編第20回)

 劇団ヘルベチカスタンダードは2010年2月に京都大学と京都造形芸術大学の学生らで結成された。番外を含むと今回が8回目の公演。「不条理と言葉遊びに溢れた幻想的な世界観が売り」(公式サイト)という劇団は人気急上昇中。「作品がわかりにくいとよく言われるが、30年後には誰にでもわかるデイズニー作品のような舞台を作ることを目指して」いるともいう。今回の舞台はどうだったのか。★印による5段階評価と400字のコメントでレビューします。掲載は到着順。(編集部)

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連載「芸術創造環境はいま-小劇場の現場から」最終回(第14回)

玉山悟さん(王子小劇場代表・芸術監督)
◎独自の選球眼で有望劇団の発掘と育成を

 1年半にわたって、時に地方にも足を伸ばし、劇場の生の声を少しでもお伝えしたいと続けてきたこの連載。2011年も終わろうとする今回をもって、きりよく最終回といたします。ラストバッターとして登場願うのは王子小劇場の玉山悟さんです。席数100とこぢんまりした規模ながら、恒例の演劇祭や演劇賞もあり、東京都内でも一種独特の立ち位置をもつこの劇場。最近注目株の若手劇団には、ここで旗揚げをし公演を重ねてきたところも少なくありません。王子ならではの運営方法をはじめ、いい作品の見分け方や、劇場法(仮称)についてのお考えなどを、じっくりとお聞きしました(編集部)。

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劇団スタジオライフ「十二夜」「夏の夜の夢」

◎お祭りシェイクスピア-スタジオライフ版シェイクスピア喜劇
 吉田季実子

スタジオライフ公演チラシ
公演チラシ

 2006年以降、1年に少なくとも1回はシェイクスピア作品の上演を行っている劇団スタジオライフは今年、『夏の夜の夢』と『十二夜』の2作品を上演した。いずれも再演ではあるが、キャストも一部変更しており、『夏の夜の夢』ではさらにWキャストでの上演だったために、合計3パターンの公演が期間内に繰り返されることになった。これは劇団のシェイクスピアシリーズにおいてははじめての試みである。
 この上演形式に関して、演出家である倉田淳はレパートリーシステムが今回の上演のテーマの一つであるとプログラムの中で言及している。役者がすべて男性であり、かつレパートリー制での上演というのは16世紀に劇作家ウィリアム・シェイクスピアが実際に戯曲を書いていた時代での上演形式の踏襲にほかならない。
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村川拓也「ツァイトゲーバー」

◎2つのレベルの関係性
 伊藤寧美

 作品は、穏やかに始まる。作・演出の村川拓也氏が舞台に上がり、客席に向かって呼びかける。「この作品には一人キャストが足りません。なので、出演に協力してくれる方はいませんか?」と。参加者は、女性であれば誰でもかまわない。手を上げてくれませんかと言われるものの、みなまごまごと様子を伺ってしまい、「このままじゃ上演が始められませんよ」と村川氏も観客も、互いに苦笑してしまう場面もあった。ようやく1人手が上がり、そのままその女性が舞台に上がることとなった。
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劇作家協会新人戯曲賞は柳井祥緒「花と魚」

劇作家協会新人戯曲賞公開審査会チラシ 第17回 劇作家協会新人戯曲賞の公開審査会が12月11日、東京・杉並の座・高円寺で開かれ、受賞作に柳井祥緒 (やないさちお)さん の「花と魚」が選ばれた。正賞は時計、副賞賞金50万円。
 柳井さんは1979年東京生まれ。演劇企画ミルク寺を経て2010年「十七戦地」結成に参加、作・演出を担当。今回受賞した「花と魚」は今年(2011年)7月の同劇団旗揚げ公演で上演された。
 今年の応募総数は220本。一次審査通過作22本が二次審査に進み、最終候補作6本がこの日の審査で取り上げられた。「質の高い作品がそろった」「例年ならどの作品が受賞してもおかしくない」など審査員が口をそろえる中で、「花と魚」は第1回投票(1人2票)でトップ(5票)、2回目の投票(1人1票)でも7人中5人の票を集めた。
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OMS戯曲賞、F/T劇評コンペ 、小田島雄志・翻訳戯曲賞の受賞者決まる

 年末は1年の総決算、一区切りの時期。演劇関係でさまざまな賞の発表が相次いでいる。
 まず、フェスティバル/トーキョー11の劇評コンペ 優秀賞が12月1日に発表された。
 優秀賞には、『ザ・ショー・マスト・ゴー・オン』を対象にした夏目深雪さんの「反スペクタクルに踊ろう/踊らなかったりしよう」と、岡崎藝術座『レッドと黒の膨張する半球体』を取り上げた百田知弘さんの「叙情性と論理性の狭間で」が選ばれた。受賞者は、来年のF/T主催・公募全演目に招待される。
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年末回顧「振り返る 私の2011」を募集!

 ワンダーランド恒例の年末回顧アンケート企画「振り返る 2011」への投稿を募集します。今年みた公演から「記憶に残る3本」を挙げ、コメント300字で締めくくるという趣向です。締め切りは12月25日(日)。この1年の観劇体験にとりあえずの区切りを付けてみてはいかがでしょうか。詳細は以下の通りです。ご協力いただければ幸いです。
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リクウズルーム「ノマ」(クロスレビュー挑戦編第19回)

「全世界のあらゆる場所、あらゆる瞬間に散らばっている言葉が、ぎりぎりのイメージでつながりながら、連なっていく」と宣言するテキスト。「“全貌が見えない”時代のあたらしい舞台エンターテイメント(?)、14人の俳優が、身体と世界観をさらしながら、そこに立ちます」と自らのWebサイトで呼び込む今回の公演。2007年12月に始めたソロユニットは4年後にどんな舞台を見せたのか-。5段階評価と400字コメントをご覧ください。掲載は到着順です。(ワンダーランド編集部)

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