◎再現行為それ自体を遊ぶアプローチ
伊藤亜紗(ダンス批評)
仕掛けのある舞台美術にダンスあり歌あり映像あり曲芸(?)ありと簡単に「演劇」の枠でくくることのできないパフォーマンス集団、小指値。多摩美術大学の卒業制作公演として2004年に北川陽子が旗揚げした超若手集団だが、確実に洗練されつつあるその方法論は、すでにチェルフィッチュともポツドールとも五反田団とも違う、わくわくする新しさに到達している。ポジティブ&ハイテンションが売りの彼らだが、しかしそれとてテイストで一気につきぬけるためのパワーなのではない。「物語ること」「演じること」に対する彼ら独特のアプローチを形にするための、必要不可欠な説得力なのだ。