テレビで見る演劇(~3月末)

「浮標」公演チラシ 3月も興味深い演目が放映されます。3月4日に、昨年、座・高円寺で上演された自転車キンクリートSTORE「富士見町アパートメント」の4作品のうちから「リバウンド」と「ポン助先生」の2本。これは同じ舞台装置を使って、4人の作家がそれぞれに作品を書き下ろし上演するという試みでした。
 また、古典ともいえる三好十郎の「浮標」が3月11日に放映されます。2011年1月こけら落しの神奈川芸術劇場オープニング作品のひとつとして、長塚圭史の演出で上演されました。上演時間はなんと4時間。この長い作品、自宅のテレビの前で見られるのはラッキーかもしれません。
(場合により、番組内容、放送日時などが変更になることがあります。また、地上波デジタル放送の番組表は関東地区のもので、地域により一部番組が異なります)(編集部)

“テレビで見る演劇(~3月末)” の続きを読む

中野成樹+フランケンズ「ザ・マッチメーカー」(初日レビュー第12回)

「ザ・マッチメーカー」公演チラシ 中野成樹+フランケンズ、通称「ナカフラ」は最近、チェーホフ「かもめ」をラップ絡みで上演したり、シェークスピアの「マクベス」を大胆に構成し直したり、冒険の多い季節を過ごしていたようです。今回の舞台では、アメリカの劇作家ソーントン・ワイルダーの作品「ザ・マッチメーカー(The Matchmaker)」(邦題「結婚仲介人」)を取り上げました。これまでナカフラが手がけてきたワイルダーの「特急寝台列車ハヤワサ号」「ロングクリスマスディナー」などとはちょっと色合いの違う作品です。どんな舞台に仕上がったのか。各人各様の評価とコメントをご覧ください。掲載は到着順です。(編集部)
“中野成樹+フランケンズ「ザ・マッチメーカー」(初日レビュー第12回)” の続きを読む

マームとジプシー「コドモもももも、森んなか」

◎コドモたちの《祈り》が織りなすタペストリー
 プルサーマル・フジコ

「コドモもももも、森んなか」公演チラシ マームとジプシー、そして主宰で作・演出の藤田貴大の名前は、リフレインを特徴とする優れたテクニックを持った気鋭のカンパニー/演出家として知られつつあるけれど、のみならず、戯曲・演出・組織のつくり方といった点で彼らが「演劇」の多くを更新していることはそろそろ認知されてもよい頃合いだと思う。今回の『コドモもももも、森んなか』の再演で〈コドモ・シリーズ〉とも呼べる彼らの一連の作品群もひとまずの完結を見たし、これから未踏の領域に進んでいく節目ともいえる今、マームとジプシーのこの1年の歩みを振り返りつつ、『コドモ』再演にあたって取り組まれたこと、そして藤田貴大の知られざる演出・戯曲の特徴など、できるだけ過不足なく記述していきたい。
“マームとジプシー「コドモもももも、森んなか」” の続きを読む

たまごプリン「さいあい~シェイクスピア・レシピ」

◎野菜が問う「愛とは?」 踏み潰したい才能を発見
 鈴木アツト

 踏みつけたくなる才能がある。自分が信じる真っ直ぐなメッセージを、剛速球で投げてくる若い才能。その才能が創る舞台は、エネルギーに満ち溢れ、なによりそこに表現されたイメージが年長者にとってはあまりに斬新だった。こういう時は、まだ若いうちに、その才能がまだ芽のうちに、踏み潰しておくに限るのだが、今回、私が見つけてしまったその才能が創り出した作品は、コンクリートの道路を突き破って生えてくるど根性野菜をモチーフにしたパフォーマンスで、その舞台と同じく、踏み潰しても、私の足を突き破って生えてきそうなのである。
“たまごプリン「さいあい~シェイクスピア・レシピ」” の続きを読む

地域演劇の未来形を求めて 枝光本町商店街アイアンシアター(北九州市)

 市原幹也(枝光本町商店街アイアンシアター芸術監督/のこされ劇場三主宰)

市原幹也さん
市原幹也さん

 ぼくが芸術監督を務める北九州市の「枝光本町商店街アイアンシアター」について、紹介の記事を書いてほしいとワンダーランド編集部から依頼を受けた。アイアンシアターは、地元企業経営者を中心とした有志が結成した、まちおこし団体「北九州お手軽劇場」(http://otegarugekijou.org/)が運営母体となり、「枝光本町商店街アイアンシアター応援団」という地元企業団体からの年間準備金と、助成金、そして来場者からの募金や寄付によって運営されている劇場である。
“地域演劇の未来形を求めて 枝光本町商店街アイアンシアター(北九州市)” の続きを読む

「クロスレビュー・挑戦編」3月は範宙遊泳とジエン社

 「クロスレビュー・挑戦編」は、新しい演劇の方向を切り開こうとする劇団や知名度が十分でない演劇ユニット、カンパニーなどに「周知と評価の場」を提供する新企画です。多数のご応募をいただいた中で、編集部内で審査した結果、3月の対象公演は範宙遊泳「労働です」(3月2日-9日、STスポット横浜)とジエン社「スーサイドエルフ/インフレ世界」(3月31日-4月3日、日暮里・d-倉庫)に決定しました。当公演のレビューを募集いたします。奮ってご応募ください。
“「クロスレビュー・挑戦編」3月は範宙遊泳とジエン社” の続きを読む

sons wo:「めいしゃ」(クロスレビュー挑戦編 第1回)

「かわいいめいしゃ展」チラシ 気鋭の劇団やユニットに「周知と評価の場」を提供するクロスレビュー挑戦編第1回。リスク覚悟で名乗り出たのはsons wo:(さんず・うぉー)でした。ぽ・ぎょらんの展示会場で開かれた公演「めいしゃ」を取り上げます。ページをご覧になればわかりますが、評価は大きく分かれました。分かれて当然の公演です。公演のどこに着目するか、なにを可能性と見るかの違いなのでしょうか。それも想定の範囲内かもしれません。★印による5段階評価+400字コメント。掲載は到着順です。(編集部)
“sons wo:「めいしゃ」(クロスレビュー挑戦編 第1回)” の続きを読む

鴎座「クレンズド」(リーディング・パフォーマンス)

◎狭間を浮遊する作品
 關智子

鴎座「クレンズド」 公演チラシ 俳優が舞台上で台本を手にしているという事は何を表すのか。彼らは完全に役に埋没する事はなく、かと言って彼らそのものとしてその場に存在している事もない、観客と交換可能でありながら違う世界を生きている狭間の存在になる。そんな居心地の悪い所在無さを感じながらも、時折突如としてその場に出現する劇的世界に観客を引き込もうとする舞台。2010年12月25日に行なわれた鴎座『クレンズド』はそんな作品だったように思う。

“鴎座「クレンズド」(リーディング・パフォーマンス)” の続きを読む

約100団体参加で「国際舞台芸術ミーティング in 横浜」開く

 演劇、ダンスなど内外の同時代パフォーミング・アートを一堂に集める「国際舞台芸術ミーティング in 横浜」(TPAM in Yokohama)が2月16日から20日まで横浜市を中心に開かれます。これまで「芸術見本市」として開かれてきましたが、今回から内外のアーチストとプロデューサー、フェスティバル・ディレクターらが出会う「舞台芸術ミーティング」として名称も内容も一新し、劇場を媒介にして創造活動、国際交流を展開する大掛かりな催しです。会期前からすでにさまざまな催しが先行スタート。国内はもちろんイギリス、韓国、カナダ、フランスなど内外の約100団体が参加して、オープンしたばかりの神奈川芸術劇場、それにヨコハマ創造都市センター(YCC)、横浜赤レンガ倉庫、BankART Studio NYKなど多くの劇場、スタジオなどで集中的に開かれています。
“約100団体参加で「国際舞台芸術ミーティング in 横浜」開く” の続きを読む

ミナモザ「エモーショナルレイバー」

◎ベランダから見える景色
  水牛健太郎

「エモーショナルレイバー」 公演チラシ そう言えばマンションのリビングにはなぜ、必ずと言っていいほどベランダがあるのだろうか。そのマンションにもベランダがある。ベランダの向こうは隣のビルの壁だ。空は見えない。幹線道路からのざわめきだけが聞こえる。都内。何となく渋谷とか六本木あたりに思える。
“ミナモザ「エモーショナルレイバー」” の続きを読む