第1回高校生劇評グランプリ(主催:公益社団法人国際演劇協会日本センター)の入賞者が27日、同グランプリWebサイトに発表された。最優秀賞は、 NODA・MAP「MIWA」公演を取り上げた石本秀一さん(早稲田実業学校高等部 1年)の「MIWA―愛の伝道師その人生とは」。優秀賞は東京、千葉、埼玉、神奈川、兵庫などの高校生が書いた10編となった。団体賞は工学院大学附属高等学校。表彰式は3月31日(月)午後、東京芸術劇場シンフォニースペース(5階)で開かれる。
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月: 2014年3月
ふじのくに⇄せかい演劇祭2014
SPAC(静岡県舞台芸術センター)の「ふじのくに⇄せかい演劇祭2014」のプログラムが3月27日、都内で開かれた記者会で発表された。例年は暑い季節の開催だったが、今年は4月末から5月初めのゴールデンウィーク期間中に実施。芸術総監督である宮城聰演出の祝祭音楽劇「マハーバーラタ 〜ナラ王の冒険〜」、ベルリン演劇祭でも高い評価を受けた「ファウスト 第一部」(ニコラス・シュテーマン演出)など内外の演劇公演のほか、ピ-ター・ブルックの舞台映像「マハーバーラタ」、稽古場にカメラが入った「タイトロープ」、これまで失われたと思われていた「演劇的冒険-アフリカの100日」など貴重なドキュメンタリー映画3本も一挙上映される。
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SPAC「マハーバーラタ」がアヴィニョン演劇祭へ
60年余りの歴史があるアヴィニョン演劇祭(フランス)の今年の公式プログラムに、SPAC(静岡県舞台芸術センター)の2作品「マハーバーラタ~ナラ王の冒険~」と「室内」が招聘される。特に宮城聰SPAC芸術総監督の演出作「マハーバーラタ」は、メーン会場の一つブルボン石切場(約1000人収容)のオープニングを飾り、7月7日から19日まで11公演が予定されている。SPACが27日、都内で開いた記者会見で発表した。
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座・高円寺 劇場創造アカデミー4期生修了上演「戦争戯曲集・三部作」
◎「劇作」と「文体」と、創作に必要な在り得べき「姿勢」の在り方の問題について
矢野靖人
3月1日(土)、座・高円寺劇場創造アカデミー4期生修了上演、エドワード・ボンド作「戦争戯曲・三部作」通し上演を観劇。
私たちshelfの前回公演「nora(s)」(2013年10月初演、第20回 BeSeTo演劇祭 BeSeTo+参加作品、日韓共同制作)の制作助手(兼通訳・翻訳)の任を担ってくれたアマンダ・ワデルが演出部としてこのプロダクションに参加していたのがこの上演を観に行ったいちばんの理由だった。そしてshelfが過去に京都アトリエ劇研で公演やワークショップを行った際にたびたび世話になった俳優・森衣里や、フリーぺーパー「とまる。」の元編集長の高田斉君もこの上演にそれぞれ俳優、演出部として参加していて、彼/彼女らの仕事を見届けたかったのと、あとはぜんぜん別な関心事として座・高円寺の「芸術創造アカデミー」というところがどのような事業を行っているのか。それにも興味があって、マチネ・ソアレの通し上演を観劇した。
この公演、タイトルは「戦争戯曲集・三部作」とあるけれど、マチネAプロが一部として『赤と黒と無知』、『缶詰族』の二作を上演し、第二部をBプロとして同日に『大いなる平和』を連続上演するという、まことにまあ野心的というか、とても無謀な企画であった。途中休憩はあるものの、上演時間7時間超という大作を観るのは、歌舞伎の通し狂言でもなければ今日日まったく稀れな体験であって、非常に得るものが多くあった。そのような意味で観に行って本当に好かった。クロニクルというか、年代記とでもいうのか。7時間超という長い時間を通してしか得られない体験が、舞台芸術には確かに在る。それが身体で分かっただけでも実に僥倖であった。
板橋駿谷一人芝居「俺の歴史」
◎スピード感とリズム感のある心地よい作品
カトリヒデトシ
板橋駿谷を初めて見たのは、2009年2月の劇団掘出者第6回公演「誰」@サンモールスタジオであった( 因幡屋さんのレビュー)。「誰」は第15回劇作家協会新人戯曲賞最終候補にノミネート。その後、2010年には劇団昴(ザ・サード・ステージLABO公演)でも上演された。
板橋とは以来のつきあいである。彼にはカトリ企画UR第2回「溶けるカフカ」と第4回「文化系体育会」とに出演してもらっている。その彼の作品を評するのは、ある種身贔屓の誹りを免れないのだが、その実力を評価し、ともに作品づくりをしたからこそ、彼の良さもダメさもよく知っている。そしてそんな関係の私でも今回の作品については書きたいと思った。
【レクチャー三昧】2014年4月
毎度の言い訳ですが、各大学の4月開催イヴェントについての告知はまだ出揃っていないようです。一方で早々と、通年の公開講座を一覧で示してくれている大学もあります。なんて親切なのかしらと花粉症も吹き飛ぶ思いです。(高橋楓) “【レクチャー三昧】2014年4月” の続きを読む
中野成樹、長島確「四谷雑談集」+「四家の怪談」
◎幽霊は鼻歌に乗って
廣澤 梓
パフォーマンスの全日程が終了した2013年11月24日の夜、Twitterの中野成樹+フランケンズのアカウントによって、作品の公式応援ソングだという「あ・お・ぞ・らDestiny」の配信がスタートしたことが知らされた。上演中に何度か聞いた「待ってて」が繰り返されるサビの部分と、決して上手いとは言えない女性ボーカルは耳に残っていた。
それが今ではわたしのパソコンのデスクトップ上にあって、アイコンをクリックすればいつでも聞くことができる。またその歌詞を口ずさみ、この物語を「降ろす」ことができる。
連載企画「外国人が見る小劇場」番外寄稿
「異なる文化的背景で育った『眼』を通してみると、日本発の舞台芸術がはらむ意外な特徴が浮かんでくるかもしれない」との企画趣旨でした。欧米だけでなく、中国や東南アジアの方とも折衝しましたが、今回は残念ながらアジアは韓国の方だけになりました。しかし限られた「眼」に照らされるにしても、(日本の)「小劇場の意外な特徴」がいくつも浮かんできました。今回の番外寄稿で「小劇場の魅力、可能性、限界」がさらに掘り深く明らかになるのではないでしょうか。(編集部)
わっしょいハウス『我着地、クワイエット』
◎物語は、東長崎の6畳一間に宿る
米川青馬
【0】
ある意味、これが今の30歳前後のリアルの一面なのだろうと、38歳の僕は思う。古市憲寿氏の『絶望の国の幸福な若者たち』の感触にかなり近い。モラトリアムだが、いずれ来る嵐に気づいている。ゆったりと構えているようで、ギリギリのところで成り立っている。淡々としていながら、後ろのほうにうっすら緊迫感が漂っている。一見、穏やかでおとなしいが、不思議な強さを感じる。一筋縄ではいかない。(もちろん、全然違う面もあるだろう。当然、作者のリアルだろうというつもりはまったくない。)
ARICA「しあわせな日々」
◎翻訳劇を翻訳の劇として明示する
柳沢望
ベケットの「しあわせな日々」は、「ゴドーを待ちながら」のように二幕の戯曲である。一幕がはじまると、奇妙にも腰まで地面に埋まった中年女性のモノローグが続き、ニ幕がはじまると女は首まで地面に埋まっていて、歌で終わる。ベケット自身が英語で執筆し、フランス語に翻訳した。フランス語で書いて英語に翻訳したゴドーと、あらゆる点で好対照をなしている。
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