◎その囁きは水底から響いてきたようにも思えた
大泉尚子
JR埼京線・板橋の駅を降り、歩くこと10分。まさかここじゃあないよなあ…というくらいの細っこい路地を折れた、行き止まりのどん詰まり。東武東上線の線路の柵が立ち塞がり、目の前を轟音を立てて電車が走り過ぎていく、その脇。劇場というよりは、駆け落ち(って死語かもしれないけれど…)した二人がひっそりと隠れ棲むのにふさわしいような、そんな場所にこのatelier SENTIOはある。どうか見つけないでくださいと言わんばかりに。そこで行われているSENTIBAL!2009の参加作品として、shelfの「Little Eyolf―ちいさなエイヨルフ―」(イプセン作、矢野靖人演出)が上演されていたのだった。