◎「ノーベル精神分裂症」が漱石を砕く
杵渕里果
名古屋が拠点の少年王者舘が今年も下北沢にやってきた。作・演出の天野天街を中心に八十二年に旗揚げした劇団である。
『夢十夜』、といえば漱石と思いきや、『夢+夜』、「+」は足し算の符号だった。
〈ゆめたすよる〉、よくみると振り仮名もある。夏目漱石、との記載はないから、これは私の不注意だ。漱石を期待したのですこし残念に思う。
小劇場レビューマガジン
◎「ノーベル精神分裂症」が漱石を砕く
杵渕里果
名古屋が拠点の少年王者舘が今年も下北沢にやってきた。作・演出の天野天街を中心に八十二年に旗揚げした劇団である。
『夢十夜』、といえば漱石と思いきや、『夢+夜』、「+」は足し算の符号だった。
〈ゆめたすよる〉、よくみると振り仮名もある。夏目漱石、との記載はないから、これは私の不注意だ。漱石を期待したのですこし残念に思う。
◎「ヴァギナ・モノローグス」にみる社会と身体
志賀信夫
▽ヴァギナとフェミニズム
70年代、フェミニズムの主張として、「女性はヴァギナで感じるのではない、クリトリスだ」とするものがあった。それは男性がヴァギナを求めるのに対して、女性にとって自らコントロールできる性器はクリトリスであり、エクスタシーに達するのはクリトリスだという、男性のフロイト的?ヴァギナ幻想を打ち破ろうという主張だったように思う。
◎新たな「桜姫」の世界を紡ぎ出す 現代版と歌舞伎版が共鳴して
-コクーン歌舞伎15年目の挑戦-
田中綾乃
1994年、コクーン歌舞伎第一回公演『東海道四谷怪談』を初めて観た時の興奮は、いまだに忘れられない。バブル崩壊後、小劇場系の第三世代と言われた劇団が次々と休止、解散していく中で、90年代に入ると演劇界全体が方向性を見失い、停滞していたように思われる。そのような中で、現代劇の劇場であるシアターコクーンに登場したコクーン歌舞伎。本水を使い、抑制された身体の中にも溢れ出る歌舞伎役者たちのエネルギーを目にした時、そこには私がこれまで観てきた「歌舞伎」とは異なる歌舞伎があった。しかも、その当時、シアターコクーンの芸術監督であり、オンシアター自由劇場の演出家串田和美と歌舞伎役者たちとのコラボレーション(二回目以降は串田が演出を担当)である。千秋楽では、オンシアター自由劇場のメンバーがジャズを演奏する中、歌舞伎役者が立ち廻りを行った。観終わった後、興奮冷めやらぬ私は、Bunkamura内の公衆電話から俳優の友人に急いで電話をかけた。「コクーン歌舞伎、すごい舞台を観てしまった!! これから演劇が変わるよ!!!」と。
◎『ヴァギナモノローグス』の御開帳
杵渕里果
もう十年も前のことだけど、TVタックルで田嶋陽子がこんなことを言っていた。
「オトコの性器は〝キンタマ”って“金”がつくのにオンナにはそういうのないじゃん!」
私、そんなことないと思った。