【レクチャー三昧】芸能祭二題

 申込は既に締め切られていますので本文には載せませんでしたが、毎年2月には「国際民俗芸能フェスティバル」と「地域伝統芸能まつり」が開催されており、けっこうな見物です。ご興味ある方は、来年1月のお申込をお忘れなくどうぞ。
(高橋楓)
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テレビで見る演劇(~2月末)

 2月11日にグリングの第15回公演「GET BACK」(作・演出:青木豪)が放映されます。グリングは、第13回公演「海賊」の劇評がワンダーランドに掲載されています。
 18日の清水邦夫「楽屋・流れ去るものはやがてなつかしき」。初演は1977年。何度も再演されてきましたが、2009年に上演されたものが今回放映されます。女優Dを演じた蒼井優は、この作品で第17回読売演劇大賞・優秀女優賞を受賞しました。
 また、舞台中継ではありませんが、19日に五反田団の前田司郎作「迷子」というテレビドラマがNHKのドラマスペシャルで放映されるそうです(2月19日21:00~22:13 NHK総合、http://www.age-global.net/information/detail.php?id=32)。
(場合により、番組内容、放送日時などが変更になることがあります。また、地上波デジタル放送の番組表は関東地区のもので、地域により一部番組が異なります)
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演劇教育の先端で何が起きているのか-いわき総合高校の試み(前編)

 土佐有明

 福島県に、いわき総合高等学校という、演劇教育に力を注いでいる県立高校がある。02年に普通高校から総合学科へ鞍替えした同校は、特色ある学校づくりを目指し、選択科目に演劇の授業を導入。演劇を専門に指導する教諭(=ドラマティーチャー)ふたりを擁し、これまでに、前田司郎、柴幸男、多田淳之介、江本純子といった演出家を迎えてワークショップや公演を行っている。そして、そんな高校生たちのつくる演劇に、僕は去年から、周囲が呆れてしまうほど夢中になっている。公演や稽古を観る為に、現地に足を運ぶこと計4回。その度に、東北の片隅にまばゆい鉱脈のような“現場”を発見してしまった、という熱狂と興奮が湧き上がってくる。そこには、他の高校演劇や、東京の小劇場界では滅多に得られることのない“表現の原点”が、確かにあった。
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Port-B「個室都市 京都」

◎環境の演劇
 高橋宏幸

 「環境」という言葉が流行している。エコロジーという言葉などは、そこから派生した代表的なものだろう。実際、最近ではエコ・クリティシズムという言葉も輸入されつつあり、批評や作品を作る際のタームの一つになりそうな雰囲気もある。むろん、環境についての現代的な視野は、なにもいまに始まったことではない。日本では公害問題を発端として、60年代以後の学生運動期に於ける自主ゼミなどが挙げられるように、それは演劇の動向がラディカルに問い直された時期と同時代性がある。そこに、リチャード・シェクナーの「環境演劇」という言葉を挙げてもいい。
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連載「芸術創造環境はいま―小劇場の現場から」第7回

松浦茂之さん(三重県文化会館事業推進グループリーダー)
◎地方発信、劇場の新しい試み

 今回は東京を離れ、三重大学人文学部准教授の田中綾乃さん、地域の演劇に関心の深いカトリヒデトシさんとともに、三重を訪れました。このところ、元気のある地方公共劇場のひとつとして名前が挙がるのが、三重県文化会館。幅広い公演活動で着実に観客を集めており、その範囲は、クラシック音楽やバレエ・オペラから注目の若手演劇にまで、分野を広げています。また運営手法も、公共劇場としてはたいへんユニークと聞きます。そこで事業推進グループのリーダーとして、斬新な演劇事業を展開しておられる松浦茂之さんに、この文化会館の元気の秘密をうかがいました。(編集部)

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初日レビュー第10回 「チェーホフ?!」

「チェーホフ?!」公演チラシ 今回の初日レビューは、公演タイトルが謎を呼びます。なにしろ「?!」が付いているうえ、副題が「哀しいテーマに関する滑稽な論考」なのですから。
 作・演出のタニノクロウが当日配布されたプログラムで「この作品を作るまでチェーホフのことを知りませんでした」と率直に述べています(!)。医師でロシア人であることも知らなかったというから大物の風格十分でしょうか(?)。「膨大な資料」を読み、周囲の智恵と助言を得てどんな舞台が展開されたのか。謎の「?!」は明らかになったのか-。それぞれの400字コメントと5段階評価を手がかりに、ぜひ劇場に足を運び、自分の五感で解き明かしてください(東京芸術劇場、2011年2月13日まで)。掲載は到着順です。(編集部)
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第七劇場「かもめ」

◎かもめ・五幕-非日常の中の日常を描く-
 高倉麻耶

第七劇場「かもめ」公演チラシ 鳴海康平氏が構成・演出・美術を担当する第七劇場の「かもめ」については、知人から噂が聞こえてきて、ずっと気になっていた。残念ながら名古屋・千種文化小劇場(ちくさ座)での公演を見逃してしまったのだが、幸いにして、三重県文化会館で再演されるという情報を得、近鉄に揺られて真冬の津駅へ向かった次第である。
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「評価の場」を提供 クロスレビュー・挑戦編2月スタート

 ワンダーランドはこの2011年2月から「クロスレビュー・挑戦編」を始めます。新しい演劇の方向を切り開こうとする劇団や知名度が十分でない演劇ユニット、カンパニーなどに「評価の場」を提供する新企画です。演劇関係者からの応募を広く募り、その中から毎月1-2回、複数のレビューを星(★印)付きでワンダーランドに掲載します。旗揚げ間もない劇団、これまでの活動が評価されていないと感じているグループ、短期間の公演で周知/宣伝が広がりにくいカンパニーなどの積極的な応募を歓迎します。
 第1回の応募締切は1月30日(日)です。奮ってご参加ください。詳細は次のページをご覧ください。
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ロドリゴ・ガルシア「ヴァーサス」

◎ポエティックという魔法
 柴田隆子

「ヴァーサス」公演チラシ 面白かった。劇評の書き出しとしてこれほど拙い書き出しはないと思うが、初めてロドリゴ・ガルシアの舞台に触れて湧き上がってきたのは、「面白い」という感覚だった。暴力的で非情な「現実」を描きながらも、「ポエティック」に一種コミカルにまとめられた「ガルシア・ワールド」の放つ独特の美しさは、描かれているものの猥雑さを隠蔽するだけでなく、その「美」を受け入れることを観客に課す。私は諾々とそれに従った。しかしわずかに残った微妙な違和感は、反芻するうちに膨らんでいき、しばらくたってから大きな衝撃に変わる、私はなんてものを「面白い」と感じてしまったのだろう。こうした一連の反応を観客から引き出すのが、「ガルシア・ワールド」と呼ばれる由縁なのだと思う。
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相模友士郎「DRAMATHOLOGY/ドラマソロジー」

◎天使としてのお年寄り
 水牛健太郎

「DRAMATHOLOGY/ドラマソロジー」公演チラシ 昨年のフェスティバル/トーキョーで注目の作品「ドラマソロジー」が「七十歳以上のお年寄りの自分語りで構成された作品」であると初めて聞いた時、自分がどのように反応したかよく覚えている。私は「それはずるい」と言ったのだ。これには説明が必要だろう。
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