◎粗削りと老練と
宮本起代子
演劇集団「声を出すと気持ちいいの会」、通称「コエキモ」は2008年5月明治大学の学生を中心に旗揚げし、これまで5回の公演を行っている。当日リーフレット掲載の挨拶文によれば、主宰で作・演出の山本タカいわく「心の琴線に触れる芝居というものを、がむしゃらに追い続け、打ち続けて」きたが、公演を重ねるにつれて現状に疑問をもち、「全てをゼロに戻す決意をし」、「もっと素直に芝居を作ろう」との思いから、番外を打つに至ったそうである。自分にとってはじめてのコエキモ体験で、しかもいつもとは違う特別な一本に出会えるらしいが、劇団に対する予備知識はまったくのゼロであり、山本タカについて「まだまだ粗削りな部分もあるが、寺山修司のような、野田秀樹のような空気のある芝居」という情報を得たのみであった。
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