シス・カンパニー/Bunkamura「ボクの四谷怪談」

◎あの頃のボクにとっての怪談
 吉田季実子

「ボクの四谷怪談」 公演チラシ
「ボクの四谷怪談」 公演チラシ

 橋本治が処女作『桃尻娘』を書く前に執筆していた「幻の戯曲」というふれこみで『ボクの四谷怪談』は創作後40年にして日の当たる場所へと登場した。演出は蜷川幸雄、音楽は鈴木慶一が手掛けており、麻実れい、瑳川哲朗といった出演者の顔ぶれからも、これは何やら大事に違いないという期待がいやがおうにも高まってしまう。
 劇場にかかっている幕は歌舞伎の定式幕であり、舞台の上下には電光掲示板がある。タイトルに騒音歌舞伎(ロック・ミュージカル)とあるのだから、歌舞伎の『四谷怪談』を意識した作品なのだろう。歌舞伎=ミュージカルで騒音=ロックなのか、あるいはいずれの訳語も二語で一つの意味をなしているので解体することには意味などないのだろうか、などと考えているうちに幕が上がった。
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劇団スタジオライフ「十二夜」「夏の夜の夢」

◎お祭りシェイクスピア-スタジオライフ版シェイクスピア喜劇
 吉田季実子

スタジオライフ公演チラシ
公演チラシ

 2006年以降、1年に少なくとも1回はシェイクスピア作品の上演を行っている劇団スタジオライフは今年、『夏の夜の夢』と『十二夜』の2作品を上演した。いずれも再演ではあるが、キャストも一部変更しており、『夏の夜の夢』ではさらにWキャストでの上演だったために、合計3パターンの公演が期間内に繰り返されることになった。これは劇団のシェイクスピアシリーズにおいてははじめての試みである。
 この上演形式に関して、演出家である倉田淳はレパートリーシステムが今回の上演のテーマの一つであるとプログラムの中で言及している。役者がすべて男性であり、かつレパートリー制での上演というのは16世紀に劇作家ウィリアム・シェイクスピアが実際に戯曲を書いていた時代での上演形式の踏襲にほかならない。
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