マームとジプシー「ΛΛΛ かえりの合図、まってた食卓、そこ、きっと———-」

◎食卓は待っているか?
(座談会)林カヲル+藤倉秀彦+麦野雪+大泉尚子

「わかりやすさ」をめぐって

藤倉秀彦:6月に上演されたマームとジプシー「ΛΛΛ かえりの合図、まってた食卓、そこ、きっと———-」。本題に入る前に、この作品の大まかなアウトラインを説明します。舞台は海辺の小さな町で、中心となる登場人物は、長女、長男、次女の三人。ある夏、長女と次女がそれぞれの娘を連れ、長男がひとり暮らす実家を訪れる。集まったひとびとは卓袱台をかこみ、食事をするわけですが、三人きょうだいの思い出の場であるその家は、区画整理によって取り壊されることが決まっているんですね。 “マームとジプシー「ΛΛΛ かえりの合図、まってた食卓、そこ、きっと———-」” の続きを読む


マームとジプシー「塩ふる世界。」「モモノパノラマ」ほか

◎ロングスカートの少女たち—マームとジプシーにおける身体性
 藤倉秀彦

 マームとジプシーの身体性について書く。

 身体のリアルの低下—つまり、自分にはカラダがある、という実感の希薄化というのが、80年代くらいから進行していたのではないか、というふうに個人的には感じている。こうした身体の希薄化は、90年代以降の所謂「静かな劇」においては、平田オリザ的な「動かない身体」というかたちで表現されてきたのではないか。つまり、90年代から00年代は、80年代的な「躍動する身体」みたいなものを提示するのは、古い、ダサい、恥ずかしい、という感覚が作り手の側にも、受け手の側にもある程度共有されていたのではないか、と。これは自己が身体から疎外されている—あるいは逆に、身体が自己から疎外されている—という感覚の反映なのかもしれない。
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北九州芸術劇場プロデュース「LAND→SCAPE/海を眺望→街を展望」

◎水底で踊れ
  藤倉秀彦

公演チラシ
公演チラシ

 『LAND→SCAPE/海を眺望→街を展望』(作・演出/藤田貴大、於あうるすぽっと)について書く。本作はマームとジプシー主宰の藤田貴大が、北九州芸術劇場企画のプロデュース公演のために作・演出を担当した舞台である。二十人の役者のうち尾野島慎太朗ほか数名は、マームの芝居の常連だが、その以外の大半はオーディションによって選ばれたようである。
 舞台は北九州小倉。ひさしぶりに小倉に戻ってきた男が、かつての友人や知人と再会したり、少年時代の記憶を甦らせたり、という流れを中心に、小倉で暮らすさまざまな男女の人生を、藤田貴大お得意の〝リフレイン〟の手法で点描する群像劇である。
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五反田団「びんぼう君」

「びんぼう君」公演チラシ
「びんぼう君」公演チラシ

 世田谷パブリックシアターの舞台批評講座の受講生3名で結成された「劇評の会」。今年で7年目を迎え、毎月「世田谷劇報」という会報も発行しています。そのメンバーである藤倉秀彦さんの五反田団「びんぼう君」評を、了解を得て会報の2012年 2月13日号(通巻121号)から転載します(編集部)。

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