東京芸術劇場「God save the Queen」

◎新しい女性性を巡って(鼎談)
 落雅季子+藤原央登 +前田愛実

 2011年に大きな話題を集めた芸劇eyes番外編「20年安泰。」。ジエン社、バナナ学園純情乙女組、範宙遊泳、マームとジプシー、ロロの五団体が、20分の作品をショーケース形式で見せる公演でした。それに次いで今年9月に上演されたのが、第二弾「God save the Queen」です。今回の五劇団を率いるのは、同じく若手でも女性ばかり。そのことにも着目しながら、この舞台について三人の方に語っていただきました。(編集部)
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マレビトの会「アンティゴネーへの旅の記録とその上演」

◎表面張力への一滴 ―「アンティゴネーへの旅の記録とその上演」と福島―
 前田愛実

 フェスティバル・トーキョー(F/T)2012の主催プログラム、マレビトの会(代表:松田正隆)による『アンティゴネーへの旅の記録とその上演』は、第一の上演と第二の上演から構成された作品である。

 第一の上演では、ある架空の劇団「パトリオット劇場」が福島で一人の盲目の観客のためにギリシャ悲劇『アンティゴネー』を上演するという物語が、ブログやツイッターなどのSNSや動画を使ってウェブ上に配信されたのだが、SNS上では、パトリオット劇場の主宰や俳優を中心とする、登場人物たちの日常や生活などが書き込まれていた。つまりこの期間、物語の中の人間たちがSNSを介して現実に紛れ、この世界に生存していた(ツイッターでいうならサザエさんbot的に)というわけだが、それらを読むことで、三カ月ほどの間オンライン上で『アンティゴネーへの旅の記録とその上演』の一部が上演されていたということでもある。
 また「パトリオット劇場」をめぐる様々な「出来事」の告知もされ、地図を手掛かりにその現場に立ち会うことも可能だった。
 このような形で、第一の上演は8月から11月まで行われ、観劇を予定している観客は、あらかじめ第一の上演を見てから来場することがオススメされていた。
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サンプル「女王の器」

◎女王の国を駆けぬける男児の悪乗り
 前田愛実

 サンプルはごく初期から見続けている劇団だが、登場人物の造形や戯曲の構造に感心はしても、とうてい理解したり、まして共感などできるものではないと思っていた。
 松井周の処女作にあたる『通過』では、性器を事故で失った男性とその家族が、怪しい宗教に家をのっとられていく蟻地獄的な顛末にぞっとし、『カロリーの消費』では痴呆症の老人に介護士が性器マッサージするエピソードに、叫びだしそうな嫌悪感を覚えた。よくもこんなに悪趣味なことを思いつけるなとむしろ感心したし、それら鬼畜な内容は、青年団所属俳優たちによる清潔な演技とのギャップで、壮絶な後味の悪さをかもしたものだ。
 ところが、ところがといっていい、今回の『女王の器』では、初めてサンプルの上演に共感してしまった。
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