鳥公園「緑子の部屋」

◎鳥公園「緑子の部屋」から考える
(鼎談)落雅季子+鈴木励滋+野村政之

『緑子の部屋』をどう見たか

—11月にはフェスティバル/トーキョー14でも、鳥公園主宰の西尾佳織さんの作品の上演が予定されています。『緑子の部屋』は3月に大阪と東京で上演されました。今回は東京公演についてお話をうかがいます。とてもざっくりした言い方になりますが、緑子という女性がもう死んで居なくなっている状況で、緑子の兄と、一緒に住んでいた大熊という男性と、友だちだった井尾という女性が三人で集まって緑子のことをいろいろ思い出したり、昔のシーンが挿入されたりするという物語でしたね。それから、最初と最後で、とある「絵」について語る場面がキーポイントになっていました。ではまず、お一人ずつ、今日の話の糸口となるようなところから伺いたいと思います。
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マームとジプシー「ΛΛΛ かえりの合図、まってた食卓、そこ、きっと———-」

◎食卓は待っているか?
(座談会)林カヲル+藤倉秀彦+麦野雪+大泉尚子

「わかりやすさ」をめぐって

藤倉秀彦:6月に上演されたマームとジプシー「ΛΛΛ かえりの合図、まってた食卓、そこ、きっと———-」。本題に入る前に、この作品の大まかなアウトラインを説明します。舞台は海辺の小さな町で、中心となる登場人物は、長女、長男、次女の三人。ある夏、長女と次女がそれぞれの娘を連れ、長男がひとり暮らす実家を訪れる。集まったひとびとは卓袱台をかこみ、食事をするわけですが、三人きょうだいの思い出の場であるその家は、区画整理によって取り壊されることが決まっているんですね。 “マームとジプシー「ΛΛΛ かえりの合図、まってた食卓、そこ、きっと———-」” の続きを読む