青年団「革命日記」

◎立花の背中が幻視させる非「革命」的な時間
プルサーマル・フジコ

「革命日記」公演チラシ『革命日記』はまず何を差し置いても立花という女性の役を演じた鄭亜美が真面目さと切なさと色っぽさを抑制しつつも振りまいていて、革命闘士も支援者も町内会のおばさんたちもひっくるめた全ての登場人物の中でいちばんマトモな人間であるその彼女が、革命組織の異常さを客席に背を向けたまま糾弾するシーンが素晴らしい。

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キラリと世界で創る芝居vol.1☆韓国「LOVE The World 2010」

◎《演劇LOVE》の照らし出す未来
プルサーマル・フジコ

「LOVE The World 2010」公演チラシ
デザイン:京(kyo.designworks) +宇野モンド

前回、ワンダーランドに寄稿した文章(*1)は未来の誰かに宛てて書いたのだけどそれは或る制作者Nさんが「僕は、20年後の未来に向けて作ってますね」と力強く小田急線の下北沢駅の改札入ってすぐのとこで語ってくれたのがズシンと胸に刺さったからで、それ以来「未来」とゆー言葉が凄く具体的なイメージを持ってしまって浮かんで消えない。

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鳥公園「おばあちゃん家のニワオハカ」

◎〈不在〉の遠心力が生み出すアッサンブラージュ
プルサーマル・フジコ

前略 未来の誰か様へ

「おばあちゃん家のニワオハカ」公演チラシ演劇ユニット・鳥公園の『おばあちゃん家のニワオハカ』(以下『ニワオハカ』)を観たのは2010年3月18日のマチネで、外は晴れて気持ちの良い一日でした。会場となった市田邸は文化財に指定された建物で、それらしい雰囲気のある庭もある。雨の日はどうなのか? 夜はまた全然雰囲気違うだろうなーとか思いながら観ていると、まず冒頭で、おばあちゃん(鈴木克昌)と会話しながら入ってきた孫娘(井上知子)が突如立ちくらみをし、自意識過剰な独白をまくし立てる。終わると、彼女は、客席を睨み付ける。何か、面白いことが始まりそうだとわたしはそれで直感する。

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