◎南北原作の魅力引き出す
中西理
フェスティバル/トーキョー2013(F/T13)で私が個人的にもっとも期待していた舞台が木ノ下歌舞伎「東海道四谷怪談−通し上演−」だった。今春東京に引っ越したが、それ以前に住んでいた関西でここ数年、もっとも注目している若手劇団が木ノ下歌舞伎だからだ。昨年は東京デスロックの多田淳之介を総合演出に迎え「義経千本桜」の通し上演を行った。私はそれをwonderlandの年末回顧でベスト1に選んだが、この「四谷怪談」もそれとは方向性の異なる公演ながらも、匹敵する水準の好舞台だった。ポストゼロ年代の若手劇団でトップランナーの一角を占めていることを改めて示したといえよう。
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「ゼロ年代(2000年代)」の終わりから、「テン年代(2010年代)」の初めにかけて、演劇・コンテンポラリーダンスに顕著な傾向は2つの領域の境界に位置するボーダレスな表現が増えたことだ。最近のwonderlandレビューでも音楽家・ダンス批評家の桜井圭介氏がダンスの側から神村恵カンパニー「385日」を素材(*1)に「演劇なんだかダンスなんだか分かんないよ」的な演劇やダンスの流行現象を取り上げているが、さらに演劇側の例として快快、東京デスロック、ままごとなど「テン年代」と言われる若手劇団の舞台を挙げることもできる。
維新派の新作「ろじ式」(松本雄吉作・演出)を大阪・難波の精華小劇場で見た。維新派はこのところ野外ないし大劇場の空間で「<彼>と旅をする20世紀3部作」と題して、「nostalgia #1」(2007、大阪・ウルトラマーケット、さいたま芸術劇場)、「呼吸機械 #2」(2008、長浜市さいかち浜野外特設舞台)を連続上演してきた。それは南米や東欧の動乱の歴史を取り上げ、20世紀という壮大な時間の流れをモチーフに物語性を強く打ち出したものであった。今回の「ろじ式」は本公演とは位置づけられてはいるものの、その続きというわけではない。
珍しいキノコ舞踊団 の新作「The Rainy Table」を山口情報文化センター(YCAM)で観劇した(3月1日観劇)。珍しいキノコ舞踊団とメディアアートのplaplax、そして音楽にはBuffalo Daughterの大野由美子、衣装にAOMIといつもとは少し違う組み合わせによるコラボレーション(共同制作)作品である。YCAMに長期滞在して現地制作した。
群像会話劇の形でその背後に隠れた人間関係や構造を提示する「関係性の演劇」は1990年代以降の日本現代演劇で大きな流れを形成してきた。桃唄309の長谷基弘もその一翼を担う重要な劇作家だが、長谷には平田オリザや岩松了、松田正隆、長谷川孝治らと比較したときにスタイルに大きな違いがある。
岸田国士戯曲賞を受賞したばかりの前田司郎(五反田団)の新作である。受賞後第1作となるが、相変わらず「ダメ男」を描かせたら日本一という前田らしさを存分に発揮した舞台に仕上がっていて、思わずニヤリとさせられる。
MIKUNI YANAIHARA PROJECT*1「青ノ鳥」*2(吉祥寺シアター=9月24日マチネ)を観劇した。インターメディア・パフォーマンス集団、ニブロールを率いる振付家・ダンサーである矢内原美邦はそれ以外にも最近はoff nibrollなど別働隊的な公演を行うことでその活動範囲を広げている。そのうち「演劇を上演しよう」というプロジェクトがMIKUNI YANAIHARA PROJECT(ミクニヤナイハラプロジェクト)である。