劇団☆新感線「港町純情オセロ」

◎古典を「わかりやすく」改編するということ。
 宮武葉子

「港町純情オセロ」 公演チラシ チラシに「今どきのシェイクスピアは、ようわかりまへんとお嘆きの貴兄に」とある。劇団☆新感線プロデュース『港町純情オセロ』は、タイトル通り、シェイクスピア四大悲劇の一つ『オセロ』の翻案劇である。物語はほとんど原作のまま、設定は大幅に置き換えて、戦前の関西を舞台としたヤクザ物の芝居にしている。
 舞台は1930年代、神戸によく似た「かんべ」と呼ばれる港町。ムーア人の将軍オセロは、日本人とブラジル人のハーフの藺牟田(いむた)組組長・藺牟田オセロになっている。彼の愛妻デズデモーナは倉方医師の一人娘モナに、オセロを裏切る旗手イアーゴーは組長の右腕・伊東に、デズデモーナの浮気相手に仕立て上げられる副官キャシオーは帝大出のインテリヤクザ・汐見に、イアーゴーに金をむしり取られるロダリーゴは藺牟田組にみかじめ料を納めているクラブのオーナー・三ノ宮に、オセロの前任者モンターノは足を洗ったヤクザの紋太に、それぞれ置き換えられる。イアーゴーの妻エミリアは、伊東の妻絵美とその弟で同性愛者の准の二人に分けられているが、大きな変更点はそのぐらいで、主要登場人物はシェイクスピアの戯曲とほぼ同じである。
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