KUNIO08「椅子」

◎舞台の中心で「婦人」は怒る
 鴨下易子

「椅子」公演チラシ ある20代の演出家が韓国の劇団を紹介して「僕を含めて、日本で芝居にかかわっている人は楽しいからやっているけれど、韓国では伝えたいことがあって芝居をしている。」と書いていた。(それは書き手の周囲の人たちだけだと思いたいけれど)もしそうなら小劇場の担い手の多くは仲間内で楽しく芝居をしているだけで、大学のサークルと変わらない。そんな彼らと、今も社会との関係で芝居をつくり続けている上の世代の演劇人とは、芝居に対する意識が本当に離れてしまっているのだろう。実際、若い芝居関係の知人からは「おもしろいから見に来てください」というのは少なくて、「頑張っているから来て」と誘われることの方が多い。頑張っているのを喜ぶのは身内だけでしょう。私は身内ではなく観客、客のことを考えない公演には行く気にならない。
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流山児★事務所「ドブネズミたちの眠り」

◎からだの奥深く入り込む、男たちのドタバタナンセンス芝居
鴨下易子(アトリエ・ドミノ主宰)

「ドブネズミたちの眠り」公演チラシ今日はなぜか元気だ。昨日の芝居のせいだろうか? でもあれ面白かったけどしょうもない話で、最後にはみんな死んでしまう救いのない芝居だったのに…。タイトルは『ドブネズミたちの眠り』、会場はスペース早稲田。

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イヨネスコ「瀕死の王」

◎台詞=言葉を支える声とからだ 稀有なオーディエンス体験
鴨下易子(アトリエ・ドミノ主宰)

「瀕死の王」公演チラシ『瀕死の王』のチラシは、縦長の金色のフレームに入った写真だ。2人のティアラをつけた喪服姿の女性の間に、頭に王冠を載せた男性が車椅子に座っている。王冠からタイトルにある王様のようだが、パジャマを着て病人に見える。ティアラや王冠がなければ、喪服もパジャマも普通で、写真館で撮った家族写真に見えないこともない。その家族写真の金枠にかかるように、「死っ!死にたくねぇ!」と書かれている。初めて見る不条理劇は、チラシにも奇妙さがあり変に印象的だった。

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