青山円形劇場プロデュース「CLOUD-クラウド-」

◎透明なゴミ袋のような雲のなかで
 中尾祐子

「CLOUD-クラウド-」公演チラシ
「CLOUD」公演チラシ

 役者が台本を越えて、複雑で厚みのある物語世界を構築していく過程を目の当たりにするのは気持ちがいい。その役者の演技が巧みであるならば、なおさら爽快だ。ステージ上に演出家と役者の信頼と挑戦が満ち溢れているならば、もう言うことは何もない。
 そんな舞台に出会えたのかもしれない。表題の舞台で構成・演出を手がけた鈴木勝秀氏が公演終了後、台本を公式ホームページ上で公開した。その台本を読み、いくつか得るところがあって心地よかったのだ。
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劇団扉座「新浄瑠璃 朝右衛門」

◎平面世界を立体化する
 中尾祐子

「新浄瑠璃 朝右衛門」公演チラシ 舞台の意義に真正面から立ち向かった大作に出会った。
 原作がすでに小説や漫画などで発表され、一定の評価を得ている物語を舞台化する際、ひとつキーとなるのは「音」という問題だろう。
 この舞台の原作は江戸時代に死罪となった罪人の首を斬る役人を主人公にした名作漫画『首斬り朝』。作家の小池一夫と劇画家でもある小島剛夕の合作による1970年代の代表作だ。舞台の脚本と演出は「スーパー歌舞伎」の脚本でも知られる劇団扉座の主宰、横内謙介が手がけた。
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劇団ユニークポイント「通りゃんせ」

◎日韓の交流は「また」と続く
 中尾祐子

「通りゃんせ」公演チラシ
「通りゃんせ」公演チラシ

 5年に及ぶ日韓の演劇交流の集大成となる舞台とあって、未来への希望を託すような前向きな仕上がりとなった。日本人女性と韓国人男性の結婚をめぐる騒動を、在日韓国人を含めた日韓の俳優22人で描き出した群像劇だ。日本の劇団ユニークポイントと韓国の清州市民劇場の共同制作で実現した。
 劇団ユニークポイントは1999年に結成。2005年に韓国のソウルと清州で公演をおこない、これをきっかけに交流が始まったという。昨年は植民地時代をテーマにした『雨の一瞬前』を両国で上演するに至った。

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鵺的「不滅」

◎罪と罰と、ゆるし
中尾祐子

「不滅」公演チラシ
デザイン・詩森ろば(風琴工房)

登場人物は6人。とある山中に建つホテルに偶然集まった。ただし、そのうち5人が罪に触れる経歴を持っている。どれも近年実際に起き、マスコミに取り上げられた事件ばかりだ。この偶然をありえない設定とは笑えないところに、現代社会の歪みがある。

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劇団東演「どん底」

◎「絶望の闇」見せる演出
中尾祐子

「どん底」公演チラシ1966年の初演後、日本全国を巡演し、節目節目に再演してきた老舗劇団の代表作が、創立50周年を記念して再び幕を開けた。演出は八田元夫、千田是也と続き、3代目にあたるロシアの鬼才ワレリー・ベリャコーヴィッチ。1998年に朝日生命ホールで初演をふみ、今回が4度目の挑戦である。

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