◎はたしてこれは効率を優先した結果なのか?
大岡淳

この芝居のタイトルが『効率の優先』と銘打たれているのは、直接的には、2件の殺人が起きてのち、緊急時の対応を先送りし犯罪を隠蔽してまでも、なお仕事を継続させようとする精神を指しているのだろう。安全対策を先送りにして「安全神話」をふりまくことにばかり専心してきた東京電力に象徴される、日本企業の無責任体質が揶揄されていることは明白である。まずはこの点を評価したい。同じテーマを扱っていても、新国立劇場『効率学のススメ』なる愚作と比べれば、はるかにこちらの方が面白かった。
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ヨーロッパで人気を博するリミニ・プロトコルのメンバー、シュテファン・ケーギ構成・演出による『ムネモパーク』は、期待に違わず見応えのある公演であった。
『綿畑の孤独の中で』は、フランスの劇作家ベルナール=マリ・コルテスの代表作として我が国でも知られているが、実際の上演に触れる機会に乏しい私たちにしてみれば、この特異な戯曲に相応しい演出がどのようなものかについては、なかなか想像がつかないというのが正直なところではないか。しかしこのたび来日を果たし、「Shizuoka春の芸術祭2007」にエントリーしたラ・スフルリー劇団による公演『綿畑の孤独の中で』は、ともすれば難解なダイアローグの連続とも見えるこの戯曲を、明快なスタイルと強烈なインパクトを備えた芝居に仕立て上げたという点で、意義深いものであった。
この3月31日をもって、演出家・鈴木忠志が(財)静岡県舞台芸術センター(SPAC)芸術総監督を退任した。彼の監督時代の最後の演出作品となったのが、この『別冊 別役実 ―「AとBと一人の女」より』である。若干のテキレジと、演出上の工夫が施されているとはいえ、基本的には、戯曲『AとBと一人の女』をストレートに演出した作品である。
関西野外劇の雄として知られる劇団犯罪友の会は、今年で創立30周年だそうだ。私はこの集団を、アングラ演劇の最良の部分を継承し発展させている劇団だと考え、演劇批評家として一貫して評価し、支持し、応援してきた。今年10月に上演された『かしげ傘』は、「30周年超大作野外劇」と銘打たれているだけあって期待に違わぬ力作であったが、これを見ながら私は、もはや「アングラ」云々という文脈でこの集団の魅力を語る必要はなくなったのだな、とふと思った。「犯友」の芝居は、「犯友」の芝居以外のなにものでもなく、殊更に他の芝居との共通性を指摘したり、あるいは相違点を強調したり、といった、私自身がこれまでやってきた批評的な作業は、なんだかさかしらな営為に過ぎなかったような気がしてしまった。それほどに、この集団は、他の追随を許さぬ独自の魅力を備えた劇団として成熟しつつあることを、確認した次第である。