◎贅沢で豊か 驚愕の「子ども向け」劇
都留由子
「子ども向け」と銘打ったお芝居をあなどってはいけない。「子ども向け」と「子どもだまし」は違うのだ。杉並区の小学四年生が全員招待されたという「旅とあいつとお姫さま」。ごく気楽に観に行った筆者は、思わぬ展開に圧倒されてしまった。
小学校の体操服みたいな短いショートパンツに長い髪、赤いほっぺの女の子が元気に登場して、ふむふむと観ていると、でっかい死体はごろりと投げ出される、生首はいくつも天井から下がってくる、そしてちょうちんスカートの可愛いお姫さまは、サロメのように生首にいとおしそうに頬ずりし、その大事な生首の耳をかみちぎった猫の耳を、仕返しにかみちぎっちゃったりするのである。そればかりか、そのお姫さまの愛人は恐ろしい魔物で、お姫さまは角の生えた魔物の膝に乗って、うっとりと、あなたの腕の中で眠る、なんて言うのだ。