◎贅沢で豊か 驚愕の「子ども向け」劇
都留由子
「子ども向け」と銘打ったお芝居をあなどってはいけない。「子ども向け」と「子どもだまし」は違うのだ。杉並区の小学四年生が全員招待されたという「旅とあいつとお姫さま」。ごく気楽に観に行った筆者は、思わぬ展開に圧倒されてしまった。
小学校の体操服みたいな短いショートパンツに長い髪、赤いほっぺの女の子が元気に登場して、ふむふむと観ていると、でっかい死体はごろりと投げ出される、生首はいくつも天井から下がってくる、そしてちょうちんスカートの可愛いお姫さまは、サロメのように生首にいとおしそうに頬ずりし、その大事な生首の耳をかみちぎった猫の耳を、仕返しにかみちぎっちゃったりするのである。そればかりか、そのお姫さまの愛人は恐ろしい魔物で、お姫さまは角の生えた魔物の膝に乗って、うっとりと、あなたの腕の中で眠る、なんて言うのだ。
お芝居の中には、人生のある時期に観ると、激しく心を揺さぶられ、強い印象を残すものがある。鴻上尚史が主宰する若い劇団、「虚構の劇団」の『ハッシャ・バイ』は若いうちに観たかった作品であった。初演を観ていないことを、本当に残念に思った。第三舞台による初演は23年前のことである。
TAGTASプロジェクトの「百年の<大逆>」前編と後編を観た。TAGTASとはトランス・アヴァンギャルド・シアター・アソシエーションの略で、今回筆者が観た「百年の<大逆>」は、円卓会議、リーディング、映画の上映などとともに、その設立公演のひとつ。一週間の間隔を置いて前編と後編が上演された。
オフ・ブロードウェイよりもっと小さな劇場(フリンジと言うらしい)で大好評を得て、ブロードウェイでの上演に至り、2002年のトニー賞まで取ってしまったというミュージカル「ユーリンタウン」を観た。流山児祥の演出である。