◎描かずに、しかし切実に立ち上がる、舞台背後の情景
小林重幸
そもそも、この芝居がどういう文法で成り立っているのかを言い表すことは難しい。冒頭から、その所作は「ダンス」の領域そのもの。舞台上部に吊り下げられたオブジェ以外は何もない舞台に、登場人物が一人前方中央へ出てきてしばらく佇み、その後もう一人が出てきて、ふと目を合わせて台詞が始まる。露骨な性描写の台詞を語りながら、二人の所作は、手を上げたり、体を傾けたり、およそ不自然な、しかし、どこかぶらぶらとした、何となく力の抜けた感じもする動作である。
“岡崎藝術座「隣人ジミーの不在」” の続きを読む