マームとジプシー「ワタシんち、通過。のち、ダイジェスト。」
はえぎわ「ライフスタイル体操第一」
モナカ興業「旅程」

◎MITAKA “Next”Selection の今~星のホール攻略法のあの手この手
 三橋暁

1、カンパニーに優しい公共劇場~〈MITAKA “Next” Selection〉の沿革

MITAKA “Next” Selection 13th チラシ
MITAKA “Next” Selection 13 の公演チラシ

 その年ごとに多少の開催時期のズレはあるようだけど、三鷹の秋の風物詩としてすっかり定着した観のある〈MITAKA “Next” Selection〉が、昨年も開催された。地元ゆかりの文豪に因んだ〈太宰治をモチーフにした演劇〉とともに、三鷹市芸術文化センター星のホール(以下、星のホール)の二大看板として評判を呼んでいる名物企画だ。
 この星のホールが、1995年11月の施設オープン以来、さまざまな公演を重ねながら、小劇場との蜜月の関係を築いてきたことは、多くの演劇ファンがご存じだろう。当時まだあまり例のなかった、公共ホールが劇団を招請し、ひと公演まるごとを主催・共催事業として実施するという事業形態に積極的に取り組んできた過去の経緯は、ホールの運営にあたる財団職員、森元隆樹氏へのインタビュー(ワンダーランド「芸術創造環境はいま-小劇場の現場から第10回」)に詳しいので、興味のある方は本誌HPのアーカイブをぜひご覧いただきたいと思う。
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イキウメ「散歩する侵略者」

◎センス・オブ・ワンダーの彼方に待ちうけるものの正体
 三橋曉

「散歩する侵略者」公演チラシ
「散歩する侵略者」公演チラシ

 見逃したことで悔やんでも悔やみきれない過去公演のワーストワンは何か、を考えてみるとしよう。わたしの場合、その最右翼にくるのは、もしかしてイキウメの『散歩する侵略者』初演(@新宿御苑サンモールスタジオ)かもしれない。
 2005年10月、その評判に気づいたときすでに遅く(確か楽日だった)、不覚にもその公演を目撃することはかなわなかった。しかし捨てる神あれば拾う神あり。その翌年2006年6月、演劇プロデュースのカンパニーG-upが、THE SHAMPOO HATの赤堀雅秋の演出でこの作品を上演してくれたおかげで(@新宿スペース107)、初演からわずか半年で、遅れて観ることができた。
 その後、本家イキウメによる再演(2007年9月@青山円形劇場)、さらに同再々演(2011年5月@三軒茶屋シアタートラム)と、上演されるたび足を運んでいるのだが、それでも初演を逃したことが、今も悔やまれてならない。『散歩する侵略者』という作品の、どこがそんなに気になるというのか?
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サスペンデッズ「夜と森のミュンヒハウゼン」

◎鬱蒼とした森の物語 現実との交錯、衝撃と叙情と
三橋 曉

「夜と森のミュンヒハウゼン」公演チラシまるでゲームの話をするみたいだが、三鷹市芸術文化センターの星のホールと聞くと、ついつい攻略法という言葉を思い浮かべてしまう私。素人目にも、この劇場はそれくらい使い難そうだ。そもそもは、市民のサークルや生涯学習の発表を念頭において設計されたのだろう、ゆったりとした座席と舞台の配置になっているが、しかし小さなお芝居をやるには、その空間が無駄に広過ぎるのだ。

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DULL-COLORED POP「ショート7」

◎エロチシズムの上で弾けるポップコーンのように
三橋 曉

「ショート7」公演チラシ人は見かけによらぬものだし、必ずしも名が体を表すわけではない。そんなことは百も承知なのに、ついつい抱いてしまうのが先入観というやつだ。
しかし、これを必ずしも悪癖と決めつけるわけにはいかない。というのも、先入観がいい意味で裏切られたとき、そこには少なからず驚きの快感があるからだ。そして、いやます快感は、自ずと好奇心へと繋がっていく。のっけから個人的な話で恐縮だが、DULL-COLORED POPへのわたしの興味は、まさにそのケースなのだ。

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