◎「the good, the bad, the average…and unique―奈良美智写真集」(奈良美智 リトルモア 2003年)
田口アヤコ
どこで手に入れたのだったか、それがいつだったのか、自分でどこかで購入したのだが、まったく記憶にない。ただ、いま、わたしの手元にいつもあり、旅先や、本番に入ってからの劇場にも携行していくことがある。ぱらぱらとめくって、精神安定剤のような、ギターのチューナーのような、音叉のような、ミネラルウォーターのような、いつもする1時間ほどのストレッチのような、自分の精神と身体と、「世界と、」の距離の調整をするために使っている。(ということは、「演出家/劇作家」としては、この本を利用していないのだな、「俳優」として利用しているのだな、と、自覚。。。) いちど、旅行カバンの中で擦れてしまい、アイボリーのざらりとした布張の表紙には、ぎりっと一本の傷が付いている。
“忘れられない一冊、伝えたい一冊 第17回” の続きを読む