◎このどうしようもない世界にあなたといるということ
鈴木励滋
他者と関わるということは、ほんとうは恐ろしいことである。
自分の人間関係の質やら規模やらが変わる際、たとえば学校に上がる時とか誰かと付き合うことになった場合とか会社に入る折なんかに、人はうっすら恐ろしさを感じているはずなのだが、大抵はそんな考えに固執などせず、新たな「世界」でいかに支障なく人間関係をこなせるのかという方へと意識を向ける。
そんな恐ろしさにいちいち囚われてしまうのは、どこかで躓いてしまったことのある者だけなのかもしれない。
そうなのかもしれないが、誰だって他者との関わりの中で、この自分のことがほんとうは恐ろしくて堪らないのに、それを回避するために、自らの感覚を鈍磨させ思考停止して誤魔化しているだけなのではないかと、わたしはけっこう本気で思っている。
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