◎「the good, the bad, the average…and unique―奈良美智写真集」(奈良美智 リトルモア 2003年)
田口アヤコ

どこで手に入れたのだったか、それがいつだったのか、自分でどこかで購入したのだが、まったく記憶にない。ただ、いま、わたしの手元にいつもあり、旅先や、本番に入ってからの劇場にも携行していくことがある。ぱらぱらとめくって、精神安定剤のような、ギターのチューナーのような、音叉のような、ミネラルウォーターのような、いつもする1時間ほどのストレッチのような、自分の精神と身体と、「世界と、」の距離の調整をするために使っている。(ということは、「演出家/劇作家」としては、この本を利用していないのだな、「俳優」として利用しているのだな、と、自覚。。。) いちど、旅行カバンの中で擦れてしまい、アイボリーのざらりとした布張の表紙には、ぎりっと一本の傷が付いている。
“忘れられない一冊、伝えたい一冊 第17回” の続きを読む
芦沢 今回のCOLLOLの公演『このままでそのままであのままでかみさま』について、最初に編集部からいただいたのは劇評を書かないかと言う話だったんですが、今回の作品は非常に色々な要素があるので、一人で書くよりは、鼎談にした方がいいと思ったんです。鼎談というより、私と北嶋さんが田口さんに質問する場になってしまうかと思うのですが。まずは会場のBankART Studio NYKですが、3月28日の夜、本当に寒くて使い捨てカイロを渡されて。その印象が強い。だだっぴろい横長の倉庫ですね。それでまずお聞きしたいのは、場所が先にあって、それに合わせて作品を作ったのか、それとも作品が先なんでしょうか。
客席がまだざわざわするなか、