◎「寛容のオルギア」があぶり出したのは コンテンポラリー・ダンスは今
堤広志
●まずはヤン・ファーブル『寛容のオルギア』評判記
「今どきのコンテンポラリー・ダンスはどうなっているの?!」。最近こうした質問をよく受ける。実は本稿も同様の執筆依頼による。そのため、本題であるビエール・リガル振付・出演『プ・レ・ス』(※1)の舞台評に入る前に、その前提となっている「今どきのコンテンポラリー・ダンス」をわかりやすく把握できるような例示と概説に大半を割くことにした。また長話になるが、お付き合い願いたい。
座・高円寺の入口あたりから会場内にかけて、警官の扮装をした男女が10人以上。彼らは、客入れや会場案内をやっている。手には警棒、全身黒ずくめ。女は、ショートパンツ・網タイツにピンヒール、ジャケットの胸元のボタンを最大限にあけて、豊かな谷間を強調しつつ。これはきっと、異色のブロードウェイミュージカル「ユーリンタウン」の世界へのエロこわい誘導なのね、と思う。
劇団、江本純子の第1回公演は、前田司郎と安藤玉恵という小劇場界の注目役者の顔合わせが実現した「セクシードライバー」。第0回公演「まじめな話」に続く、渋谷のギャラリールデコでの3日間の公演である。三島賞受賞直後で、しかも役者として珍しい外部出演となる前田司郎。一方の、ポツドールの中心役者だった安藤玉恵 は、2年3ヶ月ぶりの舞台復帰作となった。クレーマーにしてストーカーな女と、ダメっぷり満点の純愛タクシードライバーの脱線しまくりの会話に圧倒される、湾岸の工事現場を舞台にしたコミカルな不条理劇風会話劇である。
1. 口火
ハイバイは、作・演出の岩井秀人が2003年、引き籠もりの過去を取り上げた「ヒッキー・カンクーントルネード」で旗揚げしました。「だれもが持ってるトラウマ体験を露悪的に提示して悲喜劇状況を作り出す」(ハイバイwebサイト)作風で知られています。最近は「おねがい放課後」「て」などの舞台が評判になりました。今回取り上げた「リサイクルショップ『KOBITO』」公演は、母が営むリサイクルショップをモデルに「圧倒的な幸福を願った女たちの、ある果ての姿」(同)を描いた作品だそうです。東京公演はこまばアゴラ劇場(6月5日-16日)、大阪公演は精華小劇場(6月25日-28日)でした。以下、評価(五段階)とコメント(400字)をゆっくりご覧ください。掲載は到着順です。(編集部)