◎構造の結晶と不死者の悲劇を
梅田径
アムリタを見よ!
アムリタの前々作、第二回公演『n+1、線分AB上を移動する点pとその夢について』を見て、感心したような不安になったような不思議な感慨に捉えられたことを覚えている。
アムリタは、演出家の荻原永璃、ドラマトゥルクの吉田恭大、俳優の河合恵理子、藤原未歩の四人による劇団である。メンバーは二十代前半、不死の霊薬を意味する劇団名だ。
アムリタが旗揚げされる前に、荻原の演出、吉田の脚本による尾崎翠原作『第七官界彷徨』を見たことがあった。以来、多分二年ぶりぐらいに見た彼らの演劇は端的にいって「すごくよく」なっていた。その構造はほとんど柴幸男『あゆみ』の類想ではあったけれど(とはいえ、作演の荻原は『あゆみ』を見たことがなかったそうだ)、終盤に至って俳優がそれぞれにアドリブで演技を始めた時、舞台上で蠢く彼らの「夢」のまっすぐさが、若々しく純粋で、そしてちょっとユーモラスでケレン味もある。すごく羨ましくなった。舞台の上を「うらやましいなぁ」と思ったのは初めてだった。
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