◎夢見る力に何かができるか?
大泉尚子
舞台は、南国リゾート地のホテルのロビーのようなしつらえである。バックには椰子系の観葉植物が置かれ、ソファと椅子に男と女がひとりずつ座っている。一人の女が現れて、何気なく言葉をかけ合い、暗転もないまま芝居は始まるともなく始まっている。
小劇場レビューマガジン
◎夢見る力に何かができるか?
大泉尚子
舞台は、南国リゾート地のホテルのロビーのようなしつらえである。バックには椰子系の観葉植物が置かれ、ソファと椅子に男と女がひとりずつ座っている。一人の女が現れて、何気なく言葉をかけ合い、暗転もないまま芝居は始まるともなく始まっている。
◎相手の手法へすばやくスイッチ 交換可能性を高めて匿名化 伊藤亜紗(レビューハウス編集長) 手塚夏子にとって、からだについて追求することと、イベントを開くことは、連続した欲求に駆動されている。彼女は「からだの前提を壊 … “匿名的断片「匿名的断片」” の続きを読む
◎相手の手法へすばやくスイッチ 交換可能性を高めて匿名化
伊藤亜紗(レビューハウス編集長)
手塚夏子にとって、からだについて追求することと、イベントを開くことは、連続した欲求に駆動されている。彼女は「からだの前提を壊したい」とくりかえす。踊る側も見る側もからだをもっている。からだには履歴があり、普段どんな仕事をしているか、どんな椅子にすわっているか、何に緊張してきたか…に応じて、個々のからだは、それ固有の許容範囲や判断基準、正しさを、文字通り「身に」付けている。前提を壊すことは、身に付いているものを服のように脱ぐ作業である。からだそのものは脱げないが、脱げる部分もあり、つまりそのからだのうちの脱げる部分を「前提」と、手塚はそんなふうに呼んでいるのかもしれない。脱ぐため相対化するために、他者流のからだの動かし方の論理を厳密に知るという積極的な観察を一方でおこない、他方、「作品」をつくろうとしないこと、まとめるより可能性を拡散させること、実験精神といえば聞こえはいいが、無一文のような勇気を彼女は持っている。(特に「作品」をつくろうとしない彼女の勇気は崇高である。それは公演が失敗するリスクのことではなくて、観客にショックや不安、ひどいときには吐き気を与えてしまうかもしれない危険な領域までをも、基本的にはエンターテインメントである公演というものに許容させてよいと信じる孤高さである。)
@新小岩劇場 作・演出 Dr.エクアドル 5月30日~6月2日 言わずと知れたキツイ・キタナイ・キケンの3Kミュージカル、だが意外にも舞台装置はなんか、ポップ。 会場に入ると数年前に一度見た「君のオリモノはレモンの匂い」 … “ゴキブリコンビナート「いつかギトギトする日」” の続きを読む
@新小岩劇場
作・演出 Dr.エクアドル
5月30日~6月2日
言わずと知れたキツイ・キタナイ・キケンの3Kミュージカル、だが意外にも舞台装置はなんか、ポップ。
会場に入ると数年前に一度見た「君のオリモノはレモンの匂い」を髣髴とさせる、天上にびっしり張られた丸太。上手側の入り口から舞台算法をぐるりと鉄骨の足場が囲み、中央はベニヤむきだしの「桟敷」。床は一面水。桟敷の正面に二段組で丸太の足場があり、奥の足場にも観客がじか座りできる。
なんかビッグサンダーマウンテンを思い出すんだよねー。場内整理もむずかしいので観客は劇場外に一旦並んでからぞろぞろ入るのだが、ディズニーランドのアトラクションにとてもよく似ている。一枚百円でレインコート販売してるところもねずみ王国の商魂。買わずに入ってみました。
5月29~6月1日 @新宿シアターモリエール 作・深虎芥(空間ゼリー) 演出・又吉直樹(ピース) レゴブロックのような色彩のポップな舞台装置がそのまま「何かになりたい私」を示しているように見える。役者の衣装も派手だが、色 … “ジェットラグプロデュース「誰ソ彼」(たそがれ)” の続きを読む
5月29~6月1日
@新宿シアターモリエール
作・深虎芥(空間ゼリー) 演出・又吉直樹(ピース)
レゴブロックのような色彩のポップな舞台装置がそのまま「何かになりたい私」を示しているように見える。役者の衣装も派手だが、色同士がぶつかり合わない点はスタッフ陣の力だろう。この辺はプロデュース団体の強みかもしれない。
なぜだか夢を追う人達ばかりが集まるアパート「夕凪荘」には、小説家、映画監督、バンドマン、ダンサーをそれぞれ志す人達がいる。新しい入居者が入ってきた歓迎会で「鴎外は」とのたまう小説家志望やカメラを回し続ける映画監督志望はベタなキャラクターだが印象には残る。ちなみに俳優志望の登場人物はいない。
新劇風の明快なキャラクター設定と、台詞が二ヶ所で同時進行する平田オリザ方式が融合している点も特筆すべきだと思う。
面白い企画でした。ではお話のほうはどうだったでしょうか。
◎椅子取りゲームで「マクベス」 でもWALTZは止まらない 小畑明日香(慶応大生) 微熱があって、関節痛がする折に見に行った。 熱を吹き飛ばしてくれる芝居かもしんない、東京デスロックだし、と思っていた。今回がこの劇団初 … “東京デスロック「WALTZ MACBETH」” の続きを読む
◎椅子取りゲームで「マクベス」 でもWALTZは止まらない
小畑明日香(慶応大生)
微熱があって、関節痛がする折に見に行った。
熱を吹き飛ばしてくれる芝居かもしんない、東京デスロックだし、と思っていた。今回がこの劇団初見だった。
SFだった。
ダンスのワークショップなども併せて行っているようで俳優の体の動きが綺麗で、こんなにふわっと動くなら確かにここは重力の少ない天体内の基地なのかもしれないと感じる。
が、その天体が2075年の月の裏側、というのが気になる。
2075年時点の人間は本当に月にいるんだろうか。
青年団若手自主企画vol.36 現代口語ミュージカル「御前会議」 @アトリエ春風舎 4月7日~14日 作・平田オリザ 潤色/演出・柴幸男 平田オリザの戯曲をラップで読んでみた、というこまばアゴラ劇場の会員向けフリーペーパ … “青年団若手自主企画vol.36「御前会議」” の続きを読む
青年団若手自主企画vol.36
現代口語ミュージカル「御前会議」
@アトリエ春風舎 4月7日~14日
作・平田オリザ 潤色/演出・柴幸男
平田オリザの戯曲をラップで読んでみた、というこまばアゴラ劇場の会員向けフリーペーパーに惹かれて行ってみた、が、若干の不安もあった。
リズム感がないのには自信がある。
歌い上げないで、台詞と歌を乖離させないで作るというミュージカルを、どこまで感じ取れるかを危惧していた。
「目を閉じればミュージカル 耳を閉じれば口語演劇」(当日パンフより)
もし耳が、閉じっぱなしだったらどうしよう。
◎困惑の無為と不可知論
伊藤亜紗(Review House編集長)
会場となった渋谷にほどちかいマンションの一室は、かつて王侯貴族のあいだで流行した「驚異の部屋」もかくやという標本空間である。剥製のオオツノジカやイノシシの頭と脚でできたテーブル、クロコダイルの模型、時代がかったワインなど奇妙なものが陳列され、それらの珍奇品と同じように役者もまた陳列される。物量がふえるのと同時に空間はますますちぢんでいくようにみえるが、もともとこの空間は何かの誤りであるかのようにせまい。背筋をのばせないほど天井が低いのに役者は頭におおきなかぶりものをしており、たちまちスカートやクロスに引火しそうな燭台をもってウロウロと歩き回っている。
◎舞台メディアを人びとが出会うツールに 演劇のフレームから離れて
大岡淳(演出家・批評家・パフォーマー)
ヨーロッパで人気を博するリミニ・プロトコルのメンバー、シュテファン・ケーギ構成・演出による『ムネモパーク』は、期待に違わず見応えのある公演であった。
◎揺るがないリアリティ ぎっしり詰まった伏線が見事
小畑明日香(慶大生)
処女作の五年ぶりの再演、であり、執筆当時の自分の意向をも演出家の立場からよく汲み取っていたと思う。
脚本家コンクール入賞作家の、演出家としての力量も充分に感じさせてくれた。あ、若手演出家コンクールで賞とっている人でした。失礼しました。