◎テクストと身体-日本の翻訳劇制作現場で考える
芦沢みどり
▽太陽劇団の最新作に即して
このところ学校でのいじめを苦にした小中学生の自殺が頻発して、教育委員会の対応やマスメディアの報道のあり方も含めて、社会の関心の的になっています。最近の子どもには他者への想像力が欠けている、といった言説もメディアを通して聞こえてきます。昨今の日本が子どもに限らず想像力を欠いた社会であることは間違いないにしても、自他ともに人を尊重しなくてはいけないといった倫理観は、自他の概念が曖昧なまま思考停止のミーイズムに陥っているかに見えるこの国では、いくら学校が道徳教育に力を入れたところでそう簡単に育つものではなかろうに、と思うのですが。
開演前の舞台を見つめていて、ふと香月泰男という画家の絵を思い出した。過酷なシベリア抑留体験から生まれたいわゆる「シベリアシリーズ」の作品の一つに、暗い色調の骸骨のような人間の顔が壁のように並んでいる絵があった。あれは死者の顔ではなかったか。
しっくり来ない作品だった。