◎ダルダル感いっぱいのファンタジー 不条理と情熱の高校異次元世界
青柳舞(共立女子大大学院)
「田中君は鶏を殺したのか!?」―なんと心躍る誘い文句ではないか。別に血を見て喜ぶ趣味や動物虐待に喜びを感じる変態さん、ではないのであしからず。高校を舞台に「恋愛、部活、いじめ、バカ、青春、陪審員!」というサブタイトルは、完全私ハートにメッガヒット。田中君が鶏を殺したのか気になって、足は自然とタイニイアリスへ向かった。
小劇場レビューマガジン
◎ダルダル感いっぱいのファンタジー 不条理と情熱の高校異次元世界 青柳舞(共立女子大大学院) 「田中君は鶏を殺したのか!?」―なんと心躍る誘い文句ではないか。別に血を見て喜ぶ趣味や動物虐待に喜びを感じる変態さん、では … “劇団神馬「12人の怒れる学校へ行こう!」” の続きを読む
◎ダルダル感いっぱいのファンタジー 不条理と情熱の高校異次元世界
青柳舞(共立女子大大学院)
「田中君は鶏を殺したのか!?」―なんと心躍る誘い文句ではないか。別に血を見て喜ぶ趣味や動物虐待に喜びを感じる変態さん、ではないのであしからず。高校を舞台に「恋愛、部活、いじめ、バカ、青春、陪審員!」というサブタイトルは、完全私ハートにメッガヒット。田中君が鶏を殺したのか気になって、足は自然とタイニイアリスへ向かった。
何年前に執筆された作品なんだろう。 「『身毒丸』『桜の森の満開の下』の作者」という肩書きから、あたしは岸田理生を古典の世界の人間のように見ていた。 しかし「嘘・夢・花の物語」の生々しさはその観念を壊した。夢見る夢子さん、 … “ショウデザイン舎「嘘・夢・花の物語」(空組公演)” の続きを読む
何年前に執筆された作品なんだろう。
「『身毒丸』『桜の森の満開の下』の作者」という肩書きから、あたしは岸田理生を古典の世界の人間のように見ていた。
しかし「嘘・夢・花の物語」の生々しさはその観念を壊した。夢見る夢子さん、幸せを売る男、歌・香・調の三姉妹という名前を裏切って、登場人物たちの思惑は俗っぽく生々しい。
現代にも通じる、ではなく現代に生きる人々そのままの、時に息苦しく感じるほどの現実的な悩み。或いはその生々しさを中和するために、ことさら可愛らしい雰囲気の名詞を岸田理生さんは多用したのかもしれない。
大劇場向きの芝居は個人的に好きじゃない。派手なオーバーアクションよりも、狭い空間で息詰めて見るような作品の方が好みだ。 だけど、嗜好の壁を越えて「良い」と言わしめる作品も確実に存在する。近代の日本を舞台にした今回のるぼわ … “るぼわーる「真説・さくら吹雪が風に舞う」” の続きを読む
大劇場向きの芝居は個人的に好きじゃない。派手なオーバーアクションよりも、狭い空間で息詰めて見るような作品の方が好みだ。
だけど、嗜好の壁を越えて「良い」と言わしめる作品も確実に存在する。近代の日本を舞台にした今回のるぼわーるの作品は、私にとっては正に「良い」と言える大劇場芝居だった。
同じ脚本家の書いた台本を、
どちらも初演版で上演しているところは同じだけど、
千賀ゆう子企画「桜の森の満開の下」が
映像を取り入れるなど現代的でシャープな雰囲気の作品だったのに対し、
ユニットRの「八百屋の犬」からは
昔話としてしか知らない
小劇場演劇ブームの時代の匂いが漂ってくるように感じた。
観劇していて面白い作品の中に、 「布を駆使して作っている作品」がある。 中でも、 スクリーンや衣装も含めた「布」の使い方が上手い、と 感じたのが、 岸田理生脚本「桜の森の満開の下」だった。 語り手の乞食婆さんと ヒロイン … “千賀ゆう子企画「桜の森の満開の下」” の続きを読む
観劇していて面白い作品の中に、
「布を駆使して作っている作品」がある。
中でも、
スクリーンや衣装も含めた「布」の使い方が上手い、と
感じたのが、
岸田理生脚本「桜の森の満開の下」だった。
語り手の乞食婆さんと
ヒロインの一人二役を演じる千賀ゆう子氏の衣装は
暗い色の着物の上に
ツギの当たったアズキ色のぼろを羽織る形になっていたし、
舞台の後方に当たる部分には
たっぷりと白い布が敷き詰められていた。
二人の役者は、その布をまとったり、あるいは布に絡め
緑色に光る道が黒い床の上を伸び、 舞台奥に設置されたやはり緑色の四角いスペースは、無数に張り巡らされた糸か何かに覆われていた。 三軒茶屋シアタートラムで上演中の「ミライキ」は、 役者の動きが派手で最後が感動的な、 割と正 … “InnocentSpehere「ミライキ」” の続きを読む
緑色に光る道が黒い床の上を伸び、
舞台奥に設置されたやはり緑色の四角いスペースは、無数に張り巡らされた糸か何かに覆われていた。
三軒茶屋シアタートラムで上演中の「ミライキ」は、
役者の動きが派手で最後が感動的な、
割と正統派と評されるタイプの芝居である。
巡査を人質にとって神社にたてこもった、統合失調症の
青柳 舞
五月一日、まさにゴールデンウイークの初日、新宿のタイニイアリスにて劇団鹿殺しの「SALOMEEEEEEE!!!」を観劇する。
「SALOMEEEEEEE!!!」は「サロメエエエエエエエ!!!」と読むべきか、「サロメェェェェ!!!」と読むのか、はたまた「サロメエェェェェェエ!!!」と読むべきか、声に出してみた時、非常に悩んだものだ。どの読み方にしろ、私はこの題名にエネルギッシュに満ち溢れたパンクさを感じた。ホームページにもパンクさが炸裂しているではないか。そもそも、劇団名から只ならぬものを感じる。なんせ、「劇団鹿殺し」という物騒な名前をしているではないか。「鹿を殺しちゃうのかぁ~」。などと勝手な事を思っていた私。一度、聞いたら忘れられないインパクトがある。
会場に入るとなんとも能天気な昭和歌謡が流れている。その雰囲気と以前の作品『昭和元禄桃尻姉妹』の評判から、ドタバタ喜劇のようなものを勝手にイメージしてしまっていたのだったが、実際観てみると全然違う印象だ。もちろんドタバタ … “鳳劇団「わすれな草をあなたに」 小笠原幸介” の続きを読む
会場に入るとなんとも能天気な昭和歌謡が流れている。その雰囲気と以前の作品『昭和元禄桃尻姉妹』の評判から、ドタバタ喜劇のようなものを勝手にイメージしてしまっていたのだったが、実際観てみると全然違う印象だ。もちろんドタバタも笑いの要素も芝居の中にはある。しかし意識してコテコテの笑いを狙っている訳でも、客に媚びているような態度も一切なく、俳優達の立ち振る舞いも含めて、なんというかとても品のある舞台なのだ。 (以下、タイニイアリスWebサイトをご覧ください)
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結成7年目の乞局が、第十回記念公演と銘打って 旗揚げ公演の再演に踏み切りました。 7年前は小学生だった私は 旗揚げ公演と比較してレビューを書くことはできないのですが、 「手を加えたというか原作にして書いた感じでしょうか? … “乞局「乞局」” の続きを読む
結成7年目の乞局が、第十回記念公演と銘打って
旗揚げ公演の再演に踏み切りました。
7年前は小学生だった私は
旗揚げ公演と比較してレビューを書くことはできないのですが、
「手を加えたというか原作にして書いた感じでしょうか?」(当日パンフより)
という主宰の下西啓正さんの発言からも、
初演時より大幅に書き換えたことが窺えます。
慶応大学出身の男ばっかり劇団、 以前に「学生ドリフターズ」と称したこともある とくお組の新作コメディーを拝見してきました。 機能的かつ凝った舞台装置と 救いがたく間抜けな展開が好きで 足を運んでいるのですが、 「面白いけ … “とくお組「成層圏で仕事も遊びも。~恋も~」” の続きを読む
慶応大学出身の男ばっかり劇団、
以前に「学生ドリフターズ」と称したこともある
とくお組の新作コメディーを拝見してきました。
機能的かつ凝った舞台装置と
救いがたく間抜けな展開が好きで
足を運んでいるのですが、
「面白いけど、今回はいまいち」というのが
観劇後の正直な感想でした。
笑うまいと思いながら笑わされてしまったし、
話も本当に上手いと思ったんだけど、
個人的にはいまいち。
もっと面白くできたんじゃないのかい?
という気がする。
まだ公演期間中なので、
追記欄でネタバレを交えつつ詳細を話します。