タッタタ探検組合「ハイパーおじいちゃん3 おじいちゃん月へ行く」

◎面白いことならなんでも演ろう 演劇の可能性を開く舞台
西村博子(アリスフェスティバル・プロデューサー)

「ハイパーおじいちゃん3」公演チラシ運がいいと年に数回、ええッ、こんな○○○芝居あり!?と驚くことがあるが、タッタタ探検組合の「ハイパーおじいちゃん3-おじいちゃん月へ行く」(牧島敦作/牧島・谷口有演出)はまさにその一つだった。○○○にはヘンなと入れてもいいし、楽しいとか素敵なでもいいし、要するに、私にとって新しい発見があり、演劇の可能性をまた一つ開いてくれた、という意味である。

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ゴキブリコンビナート「アンドロゲン・レインボー」

◎不条理を引き受け しぶとく生きる 崩壊寸前空間を最大限に生かす知恵
西村博子

ゴキブリコンビナートを私はゴキコンと呼んでいる。ゴキ根、の意である。
人間はゴキブリを見かけると立ちどころに叩き潰す。いたるところにゴキブリホイホイもしかけておく。だが、それはなぜ? ひとに聞いてみたらゴキブリはバイ菌を運ぶからだという。ほんとにそうなのだろうか? 人間がバイ菌を培養し、放置しておくから、その上を歩いたゴキブリの足についてることもある、というに過ぎないのでは? ゴキブリの立場に立てば尚さらのこと、なぜ抹殺されなければならないか全く理解できないにちがいない。

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プレイバックシアターらしんばん「プレイバックシアター」

 船のクレーンが旧江戸川を横切る高圧送電線にぶつかって首都圏139万か所が停電、交通機関もストップ。私は今朝、集合時間に遅れたと自分のことから話し始め、あなたは、この地下劇場に来るまでにどんなことがありましたか、どんなこ … “プレイバックシアターらしんばん「プレイバックシアター」” の続きを読む

 船のクレーンが旧江戸川を横切る高圧送電線にぶつかって首都圏139万か所が停電、交通機関もストップ。私は今朝、集合時間に遅れたと自分のことから話し始め、あなたは、この地下劇場に来るまでにどんなことがありましたか、どんなことを思いましたかと客席に発言を促していく。 “コンダクター”羽地朝和の巧みな誘導に、え~と……と、観客の私も思わず朝からの自分をいっしょうけんめい思い出そうとしていた。初めて接した「プレイバックシアター」である。

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演劇人集団☆河童塾「かっぱ版・かぜの又三郎」

 もうちょっと。もうちょっとで、もっともっといい芝居になったのに。惜しいと思った。「認知症をテーマに、老いることの意味と、心のなかの迷路を描いて……」というキャッチコピーも、時折り新聞の社会面を賑わすニュースほどにしか心 … “演劇人集団☆河童塾「かっぱ版・かぜの又三郎」” の続きを読む

 もうちょっと。もうちょっとで、もっともっといい芝居になったのに。惜しいと思った。「認知症をテーマに、老いることの意味と、心のなかの迷路を描いて……」というキャッチコピーも、時折り新聞の社会面を賑わすニュースほどにしか心を惹かず、損したかも知れない。これは、とくに認知症を病む誰かの話でなく、敗戦や原爆はおろか、きのう何食べたっけ、あの人の名、なんだっけ、何でもかんでも忘れて毎日を過ごしている今の私たち自身の話――になるはず――だったから、である。

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第1回百万ウォン演劇祭(韓国)

◎各都市劇団が巡演する壮大な企画 来年からAlice Festivalと交流へ

韓国はソウルの「百万ウォン演劇祭」。そのシンポジウムに招かれて久しぶりにソウルの大学路(テハンノー)に行ってきた。「百万ウォン演劇祭」とは、6月6日から8月13日まで、毎週、ソウルをはじめ韓国各都市からやってくる10劇団が順に公演していく、なるほどなあ、日本でもできたらどんなに素敵だろうと思わず夢見てしまうようなオルタナティブ演劇祭だ。組織づくりの中心になったの朴章烈/パク・ジャンヨル氏(委員長)。今年第1回。これから毎年開催されていくのだという。

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劇団鹿殺し「SALOMEEEEEEE!!!」

予感に満ちた混沌の中からまだ何とも知れぬ、何か魅力的なものが、むくむくと立ち上がってくる――その瞬間に立ち会えることがオルターネイティブ・シアターを観るものの最高の幸せ、と私は思っているのだが、今回の丸尾丸一郎脚本・演出 … “劇団鹿殺し「SALOMEEEEEEE!!!」” の続きを読む

予感に満ちた混沌の中からまだ何とも知れぬ、何か魅力的なものが、むくむくと立ち上がってくる――その瞬間に立ち会えることがオルターネイティブ・シアターを観るものの最高の幸せ、と私は思っているのだが、今回の丸尾丸一郎脚本・演出「SALOMEEEEEEE!!!」は、まさにそれであった。

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桜会「P―天才って何?―」

  正直言うと、はじめちょっと驚いた。たとえば久しぶりの再会なら両手を大きく開いてちょっと後ろへ重心を移してから駆け寄っていって相手を抱きしめるといった、日本人離れした身のこなし。たとえば背筋をぴんと立てたままで話すちょ … “桜会「P―天才って何?―」” の続きを読む

  正直言うと、はじめちょっと驚いた。たとえば久しぶりの再会なら両手を大きく開いてちょっと後ろへ重心を移してから駆け寄っていって相手を抱きしめるといった、日本人離れした身のこなし。たとえば背筋をぴんと立てたままで話すちょっと気取った?言い回しのせりふ、せりふ。むか~したくさん見た翻訳劇を思い出したからだ。近ごろ稀な「新劇」正統派って感じである。

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E.G.WORLD Ⅲ「みにくいフツウの子~突然変異は、未来の常識」

 熊の霊を神のもとに帰す儀式というイヨマンテ。その生贄に捧げられて咆える小熊役の志保(根元千可子)がもし「みにくいフツウの子」だったとしても、サブタイトルの「突然変異は、未来の常識」とは何のことだろう? ひょっとしたら金 … “E.G.WORLD Ⅲ「みにくいフツウの子~突然変異は、未来の常識」” の続きを読む

 熊の霊を神のもとに帰す儀式というイヨマンテ。その生贄に捧げられて咆える小熊役の志保(根元千可子)がもし「みにくいフツウの子」だったとしても、サブタイトルの「突然変異は、未来の常識」とは何のことだろう? ひょっとしたら金堂修一(作・演出・制作)の、初め創ろうと思った構想とできあがった舞台とはズレが生じたかも?と思った。

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ドロップD「これからこいつと×××」

  もしもこの“コント・コラージュ”と自称するふんわか・へんてこ芝居が一つのスタイルとして完成したとしたら、日本の演劇はまた少し豊かになる、かも知れない。が、その前途は相当キビシソーという感じがした。飯田ゆかり作・演出の … “ドロップD「これからこいつと×××」” の続きを読む

  もしもこの“コント・コラージュ”と自称するふんわか・へんてこ芝居が一つのスタイルとして完成したとしたら、日本の演劇はまた少し豊かになる、かも知れない。が、その前途は相当キビシソーという感じがした。飯田ゆかり作・演出の「これからこいつと×××」である。アリス インタビューによれば日本劇作家協会の戯曲セミナー、別役実のクラスを受講した人とか。前回公演のとき、その別役先生に「志の高さを感じる」と励まされた、ともあった。聞くだけで嬉しく、心温まる。が、書くだけでなく実際に演出し役者を集め情宣・制作し経済的な責任まで持つ――こんなにもまともに受けてたってくれる生徒がいるなんて! 長いことコント書くことを奨めてきた先生自身、もしやとまどっていられはしないか?と邪推した。 飯田ゆかりとしては必ずいつか、僕のできなかったことをし遂げたと先生を驚嘆させねばならぬ。

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東京サギまがい・ゲツメンチャクリク「お化け屋敷の中~断髪したライオン達~」

  「東京サギまがい」という名前がいい。なんか面白可笑しい口車、心かっさらってやるぞといった気概がみえる。よき市民よりもうちょっと危ない匂いのするほうに身を寄せようとする姿勢も小気味いい。その若手公演・ゲツメンチャクリク … “東京サギまがい・ゲツメンチャクリク「お化け屋敷の中~断髪したライオン達~」” の続きを読む

  「東京サギまがい」という名前がいい。なんか面白可笑しい口車、心かっさらってやるぞといった気概がみえる。よき市民よりもうちょっと危ない匂いのするほうに身を寄せようとする姿勢も小気味いい。その若手公演・ゲツメンチャクリクも “人類の偉大な第一歩”たらんと意気軒昂なネーミングである。そのせいか、彼らのVol.1 ♪初めの一歩は、見事に着地に成功した。

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