◎「父」を殺して「大人」になる 「挫折」を乗り越える自己セラピー
水牛健太郎(評論家)
5月9日にアトリエヘリコプターで五反田団の「すてるたび」を見た。昨年11月に初演された作品だが、ベルギーのフェスティバルに持っていくということで、その準備の一環として、1日だけ東京でプレ公演をするということだった。昨年見たときもいい作品だと思ったが、決して見やすい作品ではなかったから、1回見ただけでは消化できなかったところもたくさんあった。再び見ることによって、過去と現在、夢と現実が境もなく入り混じるその作品世界をよく味わうことができた。1時間余りの上演時間中、ずっと心地よく集中して楽しんで見られた。
なんて隙のない鮮やかな作戦!
1.「りたーんず」の企画趣旨
舞台は東京のどこかのガード下。壁に手の跡、人影などいろんなシミや落書きがある。と、いきなりバイクが突っ走り、元男性のカラスおばさんが廃棄物いっぱいの自転車押しながら出てきて歌い出す。
新宿のタイニイアリスで上演された快楽のまばたきの公演「星の王子さま」はとても刺激的な舞台であった。「星の王子さま」は、寺山修司の戯曲で、かの有名なサン=テグジュペリの「星の王子さま」を下敷きに書かれたものだった。男装の麗人に連れられて、点子という女の子が、うわばみ(=大蛇)の老女が経営するホテルにやってくる。そのホテルには夜空からたくさんの星が集められていて、星のいくつかは人間の女(しかもレズビアンやおなべ)になって突然踊り出す、といういささか荒唐無稽な設定である。
私にとって演劇はチラシを手に取った瞬間から始まる。