◎家族の解体から新しい人間関係へ 女優と楽屋をモチーフに
鈴木厚人(劇団印象-indian elephant-主宰、脚本家、演出家)
座・高円寺のこけら落とし公演「化粧」と、シアタートラムのシスカンパニー公演「楽屋」が、ほぼ同じ時期に上演されていたのは、僕にとっては嬉しい偶然だった。どちらも“楽屋”が舞台で、“女優”をモチーフにした芝居であり、チラシも“化粧”をしている女優の写真。しかも、名作と呼ばれている戯曲の何度目かの再演(「化粧」の初演は1982年、「楽屋」の初演は1977年)と、共通点の枚挙に暇がない。もちろん、「化粧」は一人芝居であり、「楽屋」は女優四人の芝居だから、そこのところは大きく違う。ストーリーだって全然違う。観劇後の僕の満足度(つまり、僕が感じた芝居の出来)だって、180度違った。しかし、その違いをつぶさに見比べると、太いつながりを感じずにはいられなかった。
埃だらけで薄汚れた楽屋の、そこだけが聖域か何かのように白い布で覆われている。ちゃぶ台より少し大きいくらいの、平机。起き上がった女座長は威勢よく座員に檄を飛ばし、かと思うとぶつぶつ何やらひとりごちる。夏の夕暮れ、あと一時間もしないうちに舞台の幕が開く。
『一月三日、木村家の人々』は、介護に疲れた30代独身の娘が認知症の父親を巻き込んで心中をはかる場面から始まる。とはいえ、この戯曲をある種社会派的なリアリズムとして受け取るべきではない。そうすれば、中途半端な出来と評価するほかは無い。
人は見かけによらぬものだし、必ずしも名が体を表すわけではない。そんなことは百も承知なのに、ついつい抱いてしまうのが先入観というやつだ。
珍しいキノコ舞踊団 の新作「The Rainy Table」を山口情報文化センター(YCAM)で観劇した(3月1日観劇)。珍しいキノコ舞踊団とメディアアートのplaplax、そして音楽にはBuffalo Daughterの大野由美子、衣装にAOMIといつもとは少し違う組み合わせによるコラボレーション(共同制作)作品である。YCAMに長期滞在して現地制作した。