◎ナンセンスなコントシーンで見せる「死」 Anthony Nielsonの「Realism」
中西理(演劇コラムニスト)

国際フェスティバルのもうひとつの特徴は毎年、若手の劇作家に新作を委嘱し、ワールドプレミアで上演することだ。今年見たなかではスコットランドのPlaywrite(劇作家)・Directer(演出家)であるAnthony Nielson(アンソニー・ニルソン)の新作をNational Theatre of Scotland が上演した「Realism」(Royal Lycem Theatre)がそういう舞台であった。よく出来てはいるが保守的な舞台が目立つエジンバラ演劇祭の演目のなかでは、これは非常に斬新で面白かった。
演劇集団円の「ロンサム・ウェスト」(マーティン・マクドナー作・芦沢みどり訳)を観て、いま帰ってきたところです。
しっくり来ない作品だった。
戦後のリベラリズムを背景にした「無責任」の理論と表象―つまり丸山真男と植木等―を補完するかのように、この国のネオ・リベラリズムは、「自己責任」の言説を風俗的に定着させた。それは、勝ち組に対する負け組のルサンチマンに収斂することもあれば(イラク人質ジャーナリスト批判?)、逆に勝ち組の負け組に対する完膚なきまでのダメ押し(構造改革?)として顕在化することもある。