ショウデザイン舎「嘘・夢・花の物語」(空組公演)

何年前に執筆された作品なんだろう。 「『身毒丸』『桜の森の満開の下』の作者」という肩書きから、あたしは岸田理生を古典の世界の人間のように見ていた。 しかし「嘘・夢・花の物語」の生々しさはその観念を壊した。夢見る夢子さん、 … “ショウデザイン舎「嘘・夢・花の物語」(空組公演)” の続きを読む

何年前に執筆された作品なんだろう。
「『身毒丸』『桜の森の満開の下』の作者」という肩書きから、あたしは岸田理生を古典の世界の人間のように見ていた。
しかし「嘘・夢・花の物語」の生々しさはその観念を壊した。夢見る夢子さん、幸せを売る男、歌・香・調の三姉妹という名前を裏切って、登場人物たちの思惑は俗っぽく生々しい。
現代にも通じる、ではなく現代に生きる人々そのままの、時に息苦しく感じるほどの現実的な悩み。或いはその生々しさを中和するために、ことさら可愛らしい雰囲気の名詞を岸田理生さんは多用したのかもしれない。

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るぼわーる「真説・さくら吹雪が風に舞う」

大劇場向きの芝居は個人的に好きじゃない。派手なオーバーアクションよりも、狭い空間で息詰めて見るような作品の方が好みだ。 だけど、嗜好の壁を越えて「良い」と言わしめる作品も確実に存在する。近代の日本を舞台にした今回のるぼわ … “るぼわーる「真説・さくら吹雪が風に舞う」” の続きを読む

大劇場向きの芝居は個人的に好きじゃない。派手なオーバーアクションよりも、狭い空間で息詰めて見るような作品の方が好みだ。
だけど、嗜好の壁を越えて「良い」と言わしめる作品も確実に存在する。近代の日本を舞台にした今回のるぼわーるの作品は、私にとっては正に「良い」と言える大劇場芝居だった。

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ユニットR「八百屋の犬」

同じ脚本家の書いた台本を、
どちらも初演版で上演しているところは同じだけど、
千賀ゆう子企画「桜の森の満開の下」
映像を取り入れるなど現代的でシャープな雰囲気の作品だったのに対し、
ユニットRの「八百屋の犬」からは
昔話としてしか知らない
小劇場演劇ブームの時代の匂いが漂ってくるように感じた。

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千賀ゆう子企画「桜の森の満開の下」

観劇していて面白い作品の中に、 「布を駆使して作っている作品」がある。 中でも、 スクリーンや衣装も含めた「布」の使い方が上手い、と 感じたのが、 岸田理生脚本「桜の森の満開の下」だった。 語り手の乞食婆さんと ヒロイン … “千賀ゆう子企画「桜の森の満開の下」” の続きを読む

観劇していて面白い作品の中に、
「布を駆使して作っている作品」がある。
中でも、

スクリーンや衣装も含めた「布」の使い方が上手い、と
感じたのが、
岸田理生脚本「桜の森の満開の下」だった。
語り手の乞食婆さんと

ヒロインの一人二役を演じる千賀ゆう子氏の衣装は
暗い色の着物の上に
ツギの当たったアズキ色のぼろを羽織る形になっていたし、

舞台の後方に当たる部分には
たっぷりと白い布が敷き詰められていた。
二人の役者は、その布をまとったり、あるいは布に絡め

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InnocentSpehere「ミライキ」

緑色に光る道が黒い床の上を伸び、 舞台奥に設置されたやはり緑色の四角いスペースは、無数に張り巡らされた糸か何かに覆われていた。 三軒茶屋シアタートラムで上演中の「ミライキ」は、 役者の動きが派手で最後が感動的な、 割と正 … “InnocentSpehere「ミライキ」” の続きを読む

緑色に光る道が黒い床の上を伸び、
舞台奥に設置されたやはり緑色の四角いスペースは、無数に張り巡らされた糸か何かに覆われていた。

三軒茶屋シアタートラムで上演中の「ミライキ」は、
役者の動きが派手で最後が感動的な、
割と正統派と評されるタイプの芝居である。
巡査を人質にとって神社にたてこもった、統合失調症の

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乞局「乞局」

結成7年目の乞局が、第十回記念公演と銘打って 旗揚げ公演の再演に踏み切りました。 7年前は小学生だった私は 旗揚げ公演と比較してレビューを書くことはできないのですが、 「手を加えたというか原作にして書いた感じでしょうか? … “乞局「乞局」” の続きを読む

結成7年目の乞局が、第十回記念公演と銘打って
旗揚げ公演の再演に踏み切りました。
7年前は小学生だった私は
旗揚げ公演と比較してレビューを書くことはできないのですが、

「手を加えたというか原作にして書いた感じでしょうか?」(当日パンフより)
という主宰の下西啓正さんの発言からも、
初演時より大幅に書き換えたことが窺えます。

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とくお組「成層圏で仕事も遊びも。~恋も~」

慶応大学出身の男ばっかり劇団、 以前に「学生ドリフターズ」と称したこともある とくお組の新作コメディーを拝見してきました。 機能的かつ凝った舞台装置と 救いがたく間抜けな展開が好きで 足を運んでいるのですが、 「面白いけ … “とくお組「成層圏で仕事も遊びも。~恋も~」” の続きを読む

慶応大学出身の男ばっかり劇団、
以前に「学生ドリフターズ」と称したこともある
とくお組の新作コメディーを拝見してきました。

機能的かつ凝った舞台装置と
救いがたく間抜けな展開が好きで
足を運んでいるのですが、

「面白いけど、今回はいまいち」というのが
観劇後の正直な感想でした。
笑うまいと思いながら笑わされてしまったし、

話も本当に上手いと思ったんだけど、
個人的にはいまいち。
もっと面白くできたんじゃないのかい?
という気がする。

まだ公演期間中なので、
追記欄でネタバレを交えつつ詳細を話します。

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劇団上田「10ピース」

劇団員の服装が印象的で、 前から気になっていた劇団だった。 全員、白いワイシャツにサングラス、黒いズボン。 劇団員の正装なんだろうか、 チラシに掲載された劇団員は皆同じ恰好をしている。 その濃いぃ雰囲気に惹かれて 王子小 … “劇団上田「10ピース」” の続きを読む

劇団員の服装が印象的で、
前から気になっていた劇団だった。
全員、白いワイシャツにサングラス、黒いズボン。
劇団員の正装なんだろうか、

チラシに掲載された劇団員は皆同じ恰好をしている。
その濃いぃ雰囲気に惹かれて
王子小劇場まで足を運んだんだけど、

上演された「10ピース」には
予想とは違う濃さがあった。

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デス電所『音速漂流歌劇団~燃える帝都バージョン~』

喜劇って言うか、陰気な作品って言うか、 それとも感動モノって言うんだろうか。 デス電所の『音速漂流歌劇団』ぐらい、 見る人によって見え方が変わる作品は少ないと思う。

喜劇って言うか、陰気な作品って言うか、
それとも感動モノって言うんだろうか。
デス電所の『音速漂流歌劇団』ぐらい、
見る人によって見え方が変わる作品は少ないと思う。

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ひげ太夫「南獣トウゲ」

初めて見るジャンルの芝居で、 芝居と言うより「物語仕立ての組体操」みたいな作品でした。 詳しくはこちら↓ おはしょり稽古

初めて見るジャンルの芝居で、
芝居と言うより「物語仕立ての組体操」みたいな作品でした。
詳しくはこちら↓

おはしょり稽古